SSブログ

漂うかすかな不安感も魅力のひとつ。それがスピッツの音楽。(おまけつき) [音楽]

この頃、スピッツの音楽を聴いていて、気づいたことがあって。
まぁ、ハッピーな曲もアンハッピーな曲も、ソフトな曲もハードな曲もあるわけですけど、どうもこう、いつもかすかな不安感が、そっと、いわば低い音で流れている、そんな気がするわけです。
たとえば「猫になりたい」という、これは「青い車」のカップリングで、当初はメイン曲になる予定だったという曲(アルバムでは『花鳥風月』に収録)なんですが、これなんかは割と具体的に「不安な感じ」が歌詞に表出している楽曲ですね。
なにしろ、主人公と恋人のいるアパートのすぐそばにあるのは「広すぎる霊園」なのですから
(ちなみに、スピッツの大ファンであるハライチの岩井勇気さんは、実際に「すぐそばが墓地」という、メゾネットタイプのお部屋にお住まいとのことです)。
そんな場所で、どんなラブラブな情景が描かれても、聴き手からすると「あぁ、この部屋は“広すぎる霊園”のすぐそばにあるんだよなぁ……」という想念が、頭から離れないわけです。
決して怖くはない。にしても、ちょっと、ざわざわっとなるような。
そして、その「ざわざわする感じ」が、「猫になりたい」のスパイスかつ魅力になっているなぁ……と。
そんな、単に「さわやか」だとか「色あせない青春」だとかで表現しきれないものが、スピッツの音楽、スピッツの世界にはあるように感じられます。
少なくとも、濃厚かというかというとそれほどではないけれども(もちろん例外もありますが)、薄味でもない。
そのあたりの味つけのうまさ、いい塩梅さ加減が、リスナーを惹きつけて離さないのかもしれません。

ところで余談になりますが、野口五郎さんが、代表曲のひとつである「私鉄沿線」のシングル・ジャケットの写真撮影で外へロケに出た時、カメラマンはあの篠山紀信さんだったのですが、やはり、ある墓地のそばで撮った、というんですね。天才・篠山紀信が何を狙っていたかはご本人にしかわからないのかもしれませんが、少なくとも、なんの変哲もない場所では出ない表情を捉えようとしていた、ということはわかりますね。
それにしても、スゴいエピソードだ……(五郎さんの著書に書かれてました。その時の写真の別カットをジャケットに使用したアルバムも、一応画像リンク張っときますね)。

……なんか、真面目に語っちゃった。
ま、たまにはこんなんもええわね((c)桂文枝(元・三枝)師匠)。

花鳥風月

花鳥風月

  • アーティスト: スピッツ,草野正宗,白井良明,笹路正徳,棚谷祐一,土方隆行,クジヒロコ
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1999/03/25
  • メディア: CD




筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス 野口五郎

筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス 野口五郎

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ニュートーラス
  • 発売日: 1998/02/18
  • メディア: CD



nice!(0) 

nice! 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。