SSブログ
コミック ブログトップ

なぜ『ドラえもん』は、アニメより原作の方が面白いんだろう?! [コミック]

神よ。
「にゃんこスター破局」というニュースに、不謹慎ながら何故かなごんでしまった私を、お許しください……。

さて。
実はいま、ラジコプレミアム経由のTBSラジオを流しながらこの駄文を書いているのですが(ふだんからTBSラジオを流していることが多いです)、ちょうどオンエア中の『伊集院光とらじおと』のゲストが、なんとさいとう・たかを先生!
いや、まぁ、そんなにビックリすることもないんですが、『ゴルゴ13』「芹沢家殺人事件」!)や『サバイバル』等々でおなじみのさいとう先生、以前

「僕は『ドラえもん』みたいなものも描いてみたいと思っているんですよ。」

などとおっしゃっていたのを思い出しました。
そういえば、さいとう先生も70年代初頭、変身ブームの最中に『超人バロム・1』という作品を手がけていらっしゃいました。
これは、まったくタイプの違うふたりの男の子が、力と気持ちを合わせることによって変身できるヒーローの活躍を描いたものでしたが、なにぶん子供のことなので、ささいなことでケンカになったりして、心の波長が合わずに変身できない、なんてことも。
そんな面白さもあったりする作品でした(東映の制作で実写ドラマ化され、現在はAmazonプライムビデオ「マイ・ヒーロー」で全話見ることができます。主題歌は水木一郎アニキ!)。
そんな、さいとう先生も心に留めておられる『ドラえもん』という作品。
これは実に、作者である藤子・F・不二雄先生が、自ら描くSF的世界のことを指して呼んでいた

“すこし不思議”

ではないですが、かなり不思議な、気楽に読めるけど実はけっこう奥深い作品だと思うのです。
まず、基本的にページ数がそんなに多くないにもかかわらず、きっちりまとまっている。
4ページだったら4ページ、8ページだったら8ページで、しっかり起承転結があって、オチもついている。
SFあり、冒険譚あり、泣かせるお話あり。
そうそう。
実はこのお正月は、はなさん(愛猫。享年17)のこともあって“喪中”だったのですが、ただただ泣きたくて、短編映画「帰ってきたドラえもん」「おばあちゃんの思い出」、それとスペシャルでオンエアされた「ゾウとおじさん」(あの『かわいそうなぞう』を発展させたようなお話です…)が入っているDVDをTSUTAYAで探し出して、もう号泣しながら見ていたのですが、そうこうしていると、やっぱり原作の方も気になってくるのが人情というもの(かな?)。
そんなわけで、なかば当然のように家にあった、(「おばあちゃんの思い出」以外の)原作を読み返してみると……、

「なんだ。こっち(原作)の方がいいじゃん!」

となったわけです。
「ゾウとおじさん」(原作は「ぞうとおじさん」)に流れる「戦争はいけない!」という静かな叫び、表現の繊細さ。
そして「さようなら、ドラえもん」~「帰ってきたドラえもん」の、アニメーションを飛び越えて映画すら凌駕するような、その表現の数々。
特に「ぼくだけの力で きみに勝たないと、」の部分は、原作以上の表現というものは、もう、考えられません。
それぞれ、アニメ版もよかったし、確かに号泣した。
それでもやはり、原作にはかなわない部分があるし、そのあたりが藤子・F・不二雄先生の腕の確かさなのだろうな、と、改めて痛感させられたのでした。
この辺は赤塚不二夫先生の作品なんかにも言えることなのですが、たとえば『おそ松くん』「イヤミはひとり風のなか」なんかも、どうがんばっても原作を超えることはまずできないだろう、と。
かつてカラー版でアニメ化された時期に、VHSのみのOVAとして制作され(なかば“幻の作品”と化しており、オレも未見です)、『おそ松さん』でも「イヤミはひとり風の中」として映像化されましたが、『おそ松さん』のスタッフの皆さん、おそらく「それ」は承知で、なかなか大胆なアレンジを施して、それでも原作の世界観は壊さないように、十二分に配慮した上で、作品世界が構築されていました。
『伊集院光とらじおと』にゲスト出演した、さいとう・たかを先生も

「僕もああいうところ(環境)で、“劇画”をやってみたかったです。」

と、羨ましがっておられましたが、やっぱり《トキワ荘》は天才の集合体だったんだろうな、と、改めて実感したオレだったのでした。


☆話題の「ドラえもん0巻」。第1話のバージョン違いを、カラーページも再現してすべて収録。


☆「さようなら、ドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」が、シームレスで読める本(「ぞうとおじさん」も)。
 昭和39(1964)年度生まれの方が、学年誌で読んだはずの『ドラえもん』を、順番に収録。


☆かつての雑誌と同じ、B5サイズで読める『ドラえもん』もいいものです。


「芹沢家殺人事件」!!!
 昔書いたオレのレビューも載ってますが、恥ずかしいので無視していただいて結構です…(苦笑)。


☆「イヤミはひとり風のなか」収録。

nice!(8) 
共通テーマ:コミック
コミック ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。