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しばらくは歌で、北へ、北海道へ旅しよう。 [音楽]



「い、いきなり何が始まったんだ?!」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これがかの有名なムードコーラスグループ、(森雄二と)サザンクロス

「好きですサッポロ」

という名曲でございます。
(というか、サザンクロスは「意気地なし」「足手まとい」など、名曲が多い。いまはスタイルが変わってしまったせいなのか、このムードコーラス時代のサザンクロスの単独CD、おおむね高値で取り引きされています……)
緊急事態宣言の延長はいつ来るのか、来るとしてどのくらい延びるのか、それより例の10万円はいつ来るんだ、マスクの流通も復活しつつあるようだから“アベノマスク”はいつでもいいし(しかし本当にまだ来ないなぁ……)、みたいな日々の中、せめて脳内では、1枚のCDを切符がわりに旅でもしようじゃないか、と思ったわけなんです。
行き先は、いま「絶対に来ないでください」、と言われている北海道、特に札幌エリア
道案内は、このCDで(全曲、試聴できます。マケプレ出品もけっこうあります)。


ライトアップされた札幌時計台のジャケット写真が美しく、音の面では全体的にリバーヴ(エコー)がやや強めにかかったリマスタリングがされているのがちょっと気にはなりますが、選曲、カバーの場合の人選、いずれもなかなかだと思います。
石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」新沼謙治さんの「津軽恋女」あたりは、定番過ぎるので、あえて外してあるのかもしれないですね。
まずは、このCDでは里見浩太朗さんがシブいノドを聞かせてくれている

「恋の町札幌」

石原裕次郎さんのオリジナルは、こんな感じでした。



嗚呼、思い出しますね……、まだまだ若かった、夏の日の恋。
たとえばススキノあたりで、60分でも90分でもなく、ちゃんと出会って、札幌エリアを中心に、短い時間ではあったけれども、真剣に恋をしていた、あの夏の日。
セルフノスタルジー、とでも申しましょうか。


……かと思うと一方には、美川がいるわけです。
ここ(=CD)で聴ける

「釧路の夜」

は、低音からファルセットまで、美川の音域を計算しつくした曲作りが素晴らしいですね。
オレもお子様の頃、なんか好きでした。




そして、なかにし礼さんが、いま思うと小説1冊分になる自らの半生を、たった1篇の詩にまとめた、北原ミレイさんの傑作

「石狩挽歌」

CDにもオリジナル(ワーナー版)で収められていますが、改めてお聴きいただきましょうか。



今回ご紹介しているCDの「石狩挽歌」は、トランペットの音色がちょっと派手過ぎるような気がしないでもないのですが、まぁ、そういうのは“慣れ”でしょうか。


旅の終わりは、八代亜紀さんの「愛の終着駅」でもよかったのですが、ここはあえて小林旭さんの

「北帰行」を。

CDにはクラウンでの再録音版が収められていますが、ここではコロムビアでのオリジナルで、お聴きいただきましょう。
いずれにしても、あまり変わらないところが「アキラ」です。


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八代亜紀さんのレア・トラックス(CD編その2)。 [音楽]

CD派にとっての「八代亜紀さんレア・トラック」というと、少し前に川内康範先生の作品である「お父さん」「お母さん」の2曲をご紹介させていただきましたが、
もちろん、まだまだ、あります。
まず、通販扱いのBOXものにこっそり、1曲だけ隠れていたもの。
亜紀さんの通販BOXというと、コロムビア時代の音源にテイチク時代のヒット曲を加えたと思しきユーキャンの10枚セット、ちょっとしたダーク・ゾーンのため、このブログでもまだ触れていないセンチュリー時代の音源をまとめたもの(いずれも今回は詳しくは触れません)のほか、2000年代に入ってから、すべてテイチク時代の音源で構成されたBOXセットが、7枚組、5枚組で発売されています。
タイトルは『八代亜紀ベスト・コレクション 1971~1981』と同じで、ただ先に出た7枚組の方は
『栄光の』がタイトルの頭についています。
その、7枚組の方「だけ」に入っていて、これ以外のCDではほぼ遭遇できない1曲。
それが、黛ジュンさんのヒット曲のカバー、

「夕月」

です。


ジュンさんの実兄であった三木たかしさんの、作曲家としての初期のヒットのひとつである「夕月」は、ジュンさんのオリジナルとしてはかなり異色の演歌っぽい曲調で、やはりオレのお気に入りアーティストである由紀さおりさんが、ピンク・マルティーニと組んだ大ヒットアルバム『1969』の中でも取り上げられていました(海外盤では1曲めに収録)。


個人的にはなんとなく、天童よしみさんあたりの歌声にもジャスト・フィットするような気がするこの「夕月」、亜紀さんは、ポップス系の楽曲に取り組む時は大体いつもですが、こぶしをほぼ封印し、ストレートな感じで……そう、聴きようによっては、まるでアイドル歌手のような感じで、でも心をこめて歌っていることが伝わってきます。
この「夕月」が収められている、7枚組のCD-BOX、定価そのものは1万円以上しましたが、現在ではオークションなどを通して、かなりお安く手に入れることが可能となっています。
テイチク時代のアーティスト写真をコラージュした、外箱が目印です。


Amazonの場合、このリンク先に5枚組の方のBOXを出品している業者もいるようですが、今回ご紹介した「夕月」は、7枚組の方にしか収められていません。
くれぐれも、ご注意ください。


さて、もうひとつは、グッと軽い感じの、というか、小ネタ的なやつですが、偶然見つけたものです。
こちらはリンク先にレビューも書かせていただきましたので、ごく簡単に、参ります。
いわゆる、複数のヒット曲とそのカラオケを1枚のシングルとしてまとめた、「ベストカップリングシリーズ」的な、よくあるやつの中に、亜紀さんの代表曲「舟唄」、出世作「なみだ恋」、そして「愛の終着駅」の3曲でまとめたものがあるのですが(試聴できます)。


この中の「なみだ恋」が、なんか、おかしいのです。
亜紀さんの歌いっぷりは、オリジナルのものとさほど変わりないのですが、
バックの音が、なんか、安い。
イントロのテナーサックスとか、音質がおかしいし、昔よくあった「一般のユーザー向けに作られた、カラオケ・レコード」の演奏の音みたいな感じ。
そんなオケをバックに、なぜかご本人がフツーに歌っているのです。
同時収録のカラオケも、もちろんその、なんかちょっと安っぽいやつなんですね。
これは明らかに「別テイク」というやつであって、「あのヒット曲が聴きたい!」という方にとっては「いささか痛いミス」ですが、一方でマニアにとっては、こういうのがたまんない、という一面もあったりするわけで、ある意味“珍盤”ということもできるのではないでしょうか。
こちらはテイチク時代のものと思われる、公開テレビ番組での「なみだ恋」。


この、3曲まとめたシングルは、もう1種類出ていて、亜紀さんがレコード大賞を受賞した、おなじみ「雨の慕情」、そして和モノとして強くレコメンドしたい「おんな港町」&「もう一度逢いたい」という、強力な3曲を揃えたものも出ています。


ちなみに、どちらのジャケット写真も、それぞれ「舟唄」「雨の慕情」のオリジナル・シングルに使用されたのと同じと思われるもので、このあたりもマニア心をくすぐる造りになっていますね。
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八代亜紀さんのレア・トラックス(配信&サブスクリプション編)。 [音楽]

いよいよ仙台市の図書館も、ほぼ厳戒態勢というか、開館時間が短縮になり、書架への立ち入りはできなくなりました。webかカウンターであらかじめ予約をしたモノだけを借りることができ、その受け取り、そして返却を中心とした業務のみという、もはや図書館なのかなんなのかわからない、かろうじて図書館である……みたいな感じになってきております。
それでもこれがもし、一時的にでも「閉館」となったら、生活からうるおいが、どれほど消えてしまうことでしょう。
予想もつきません。

八代亜紀さんのCDは、仙台市の図書館では、オレの推奨するテイチク時代のベスト盤などは非常に少なく、コロムビア時代のものが中心になっています(現在の亜紀さんは、『夜のアルバム』などの縁があったのか、ユニバーサルに在籍されているようです。新曲『明日に生きる愛の歌/ワタシウタ』もユニバーサルから発売)。
オレは、コロムビア時代の亜紀さんというと「竜二」なんか好きなんですけど、テイチク時代のヒット曲の再録音は、ちょっとしんどくて聴いていられないんですね。どうしても比較してしまうし、亜紀さんの再録音ものって、基本的にあまりコンディションのよくない時にレコーディングされていることが多いので、ちょっと音がヨレたり、十分出ていなかったりで、いささかつらいものがあるんです(辛口だな~、オイッ!)
というわけで、どうしてもテイチク時代にこだわってしまいがちなのですが、前にも書きましたけど、このテイチク時代、とにかくレコーディングの量が膨大。
「もう大体いいだろう」と思っていても、どこかの安価なコンピレーションに、未知のカバー曲が入っていたりすることはザラでして、もう、キリがないのです。
そうでなくとも、まだまだCDとしては手つかずのカバー曲、オリジナル曲、シングルB面曲などあるため、本当に本格的にコレクトすることは、ホンモノの「お大尽」の方におまかせすることにしたいと思っています。
まぁ、そんな中でも、2014年、配信限定

『八代亜紀 テイチクイヤー・セレクション』

というシリーズが、全部で5タイトル出ておりまして、中にはヒット曲や、その後CD化された楽曲も含まれてはいるのですが、そんな中に珍しいカバーも、多く含まれております。
レコチョクなどでも買えるのですが、Amazonでも販売されており、他のところに比べると、1曲単位での価格が、少しだけお安くなっていたりします。
個人的なおすすめは、まず、こちらのVol.2。


「恋あざみ」「うしろ姿」「石狩挽歌」「なごり雪」といった名カバーのほか、ちょっと仕上がりが雑ですが貴重な「酒場にて」、そして「夢一夜」、悪いわけがない懐メロカバー「船頭小唄」といったあたりの、今のところCDでの入手がやや難しい楽曲が含まれています。

そして、こちらのVol.5。


このカバー曲集の中では「意気地なし」「昔の名前で出ています」といったあたりが貴重で、亜紀さんの歌う「男歌」の醍醐味を、存分に堪能することができると思います。
特にムード歌謡の場合、

女心男性歌手が歌い、それを女性である亜紀さんがカバーする」

という、ちょっと複雑な構造になることも多いのですが、かつて亜紀さんが自らの歌手生命を賭けて出場したTV番組『全日本歌謡選手権』の場においては、主にその「女心を男性歌手が歌」った楽曲で勝負し、勝ち抜いて行った、ということがありましたので、こういったカバーは、亜紀さんにとっては、まさに自家薬籠中のもの。
特に「意気地なし」のサビ前、「私からあなたを取るのなら」のあたりの、やや低音で攻めてくるあたり、なかなかスリリングでゾクゾクしてしまいます(立派な変態です。変態という名の紳士?)。
これら5枚(?)の配信アルバム、聴き放題のラインナップにも入っているようですし、それぞれ試聴もできますので、気になった楽曲があれば、ちょっと探ってみてはいかがでしょうか。


☆テイチク時代の主なヒット曲と、カバー曲集(セレクトもなかなか)の2枚組。


☆好評発売中の最新シングル。トラック3の、ピアノとの一発勝負で録られた「舟唄」が素晴らしいのです。

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演歌の“あやや”=島津亜矢さん、も、いいじゃないか! [音楽]

4月になって、いろいろなことが変わりました。
TBSラジオでいうと、マムちゃん(毒蝮三太夫さん)『ミュージックプレゼント』が、これまでの毎週金曜日午後から、毎月最終土曜日の朝10時台、ナイツ『土曜ワイド ラジオTOKYO』の中へお引っ越しとか(つまり「月イチ」放送になるわけです。ご注意ください!)、毎週金曜の朝ワイドでコーナーを持っていたアナログタロウさんが隔週出演になったとか(きょう4月10日は出ていましたので、次は24日、ということ)。
というか、いまは日々いろんな物事が変化しつつあるわけですが、「緊急事態宣言」が出たある街では、なんと図書館が閉館! なんていう、淋しい話もラジオで耳にしました。
図書館が閉館してしまう、というのは、なかなかけっこうなダメージですよ。
これを聞いたオレも「後悔のないように……」と、かつて“演歌のあやや”と呼ばれ、でもいまや“あやや”といえばこの人のことかもしれない、
島津亜矢さんのCDを、近くの図書館から借りてきました。
検索かけると、カバーアルバム『Singer』シリーズを中心に「貸出中」のアルバムがいっぱいあって、そこからして圧倒されましたが……。
これまで、各種コンピレーションアルバムで2、3曲とか、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』第5巻(オリジナルビデオとして)の主題歌への“AYA”名義での参加などを通して少しずつ聴いてきて、


まぁ、そのつど圧倒されてきたわけなんですけど(特に「無法松の一生」とか)、


この際ちゃんと、その「うた」と向き合ってみたい、と思ったんですね。
「だったら買えよ」という声も聞こえてきそうですが、オレの場合、まだ“純演歌”にはちょっと抵抗があるというか(八代亜紀さんは「別格」です!)、まぁ、様子見ですね。
図書館のカウンターの妙齢のお嬢さん((c)みのもんた)も「私もこの人の歌、好きなんですよ~♪」とおっしゃっていたように、近年は紅白に連続出場し、その歌唱力をあまねく世界に知らしめている“あやや”ではありますが、2005年、デビュー20周年を記念して出たCD2枚組をこれから聴いて、さらにハマるのか、それとも「はい、わかりました」となるのか。
それは神のみぞ知る、といったところですが、現時点、ちょっとかじってみた感じの印象では、

“あやや”こと島津亜矢さん、かなりのもんだと思います(生意気)。

そういえば、近年テイチク音源を使用して出た『祝い唄全曲集』的なアルバムに、“あやや”が歌う「糸」が入っていたりして、ちょっと面白かったです(それはそれだけ「糸」という楽曲が定番化しつつある、という意味でもあるのだと思うのですが)。

☆“あやや”の歌は「糸」以外にも収録。もちろん「孫」も「娘よ」もオリジナルで入ってます。

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まだまだあった、八代亜紀さんのレア・トラックス!(CD編) [音楽]

聴きました。
八代亜紀さんの古賀メロディー、テイチク時代のレコーディング。
どうやら、テイチクに所属すると、ほとんどのアーティストの方は、古賀メロディーをレコーディングするのがならわしらしく(今も一部、続いているかと思われますが)、亜紀さんもおそらくアナログLPで2枚分・24曲近くはレコーディングしているのではないかと推察されます。
それにしても、テイチク時代のオリジナル曲以外の亜紀さんのレコーディング、とにかくバラエティーに富みすぎ!
筒美京平さん作曲の「東京ららばい」「飛んでイスタンブール」から、「影を慕いて」「酒は涙か溜息か」まで、まぁ、近年のボーダーレスなご活躍も納得がゆくラインナップではあるのですが、なにしろその量というか曲数が膨大で、いったいどうやって亜紀さんはノド・体調・健康を維持していたのだろうかと、はるか昔のことながら、勝手に心配してしまうオレだったのでした。
……あ、そうそう。亜紀さんの古賀メロディーのことでしたね。
もともと亜紀さんの男歌には定評があり、ここでもそのあたりはうまくこなしておられますが、メロディーラインがちょっとカワイイ感じの楽曲になると、これがまたキュートな魅力を発散しておりまして、「東京娘」桜たまこさんのヒット曲とは同名異曲)なんか、モダンでキュートで、いいですよ。
最近はオンエアされる頻度も減ってしまいましたが、『ラジオ深夜便』の3時台で時々オンエアされる、戦前の流行歌のハイカラでモダンな感じ、そのエッセンスは亜紀さんの歌う古賀メロディーの中にもあって、よく感じ取ることができ、とても素敵です。

さて、今日のタイトルにある「亜紀さんのレア・トラックス」なんですが、これはCDで集めている場合と、アナログで集めている場合とで、かなり事情が違ってくるようです。
たとえばアナログ中心派の方の場合、テイチク時代のオリジナル・シングル曲のコンプリートは比較的簡単ですし(以前書いた通り、いまだCD化されていないシングルA面曲が2曲だけあるのです…)、レアなシングルとなると、横浜・伊勢佐木町の商店会が制作した(で、合ってるよね?)

「モール・イセザキ」

とか、そのくらいだと思いますし、CD化されていないシングルB面曲、アルバム曲などに関しても、とにかく「ブツはある」わけですし、そう高価でもないので、入手に難儀することもそうないとは思うんですけど、これが「CDで集める」となると、なかなか難儀なんですよねコレが。
こう、なんというか、日々手さぐりでいろいろ物色していると、本当に偶然に、ものすごいレアな楽曲に遭遇することがあるんです(もちろん、アナログ中心派の方々には、よくある曲かもしれないんですけど)。
それが今回、ご紹介する

「お父さん」

と、

「お母さん」

の、2曲です。
これら2曲の尋常でないところは、どちらにも「愛ひとすじ」川内康範先生がからんでおられることで、「お父さん」は作詞(作曲は「なみだ恋」や最新シングル「明日に生きる愛の歌」などを手がけている鈴木淳さん)、「お母さん」は作詞・作曲の両方を担当されています。
リアルタイムでは結局、アルバムに収められて発表されたようですが、2曲ともかなり力が入っておりまして、「お父さん」は歌が始まる前に、ちょっと長いセリフがあります。
タイトルも「お父さん」「お母さん」で、対の関係ですし、ちょっと考えるとこの2曲、シングル化前提で制作されたとみるのが自然だ、という気がしております。
だがしかし、なんでこの2曲が当時、アルバム収録で終わったのか。
それもまた、けっこう容易にわかってしまうところが、ちょっと悲しかったりするわけですが。
それはこの「お母さん」の歌詞が、同じ川内康範先生の作詞による名曲で、近年騒動にもなった

「おふくろさん」

と、ほとんどいっしょだ、ということなんですね……。
確かに同じ川内先生の作品とはいえ、「お母さん」の歌詞(「お父さん」「お母さん」2曲とも、ネット上で読むことができます)は、あまりにも「おふくろさん」っぽ過ぎやしないか。
おそらく、そのあたりのなんだかんだがネックになって、この「お父さん」「お母さん」の2曲は、アルバム収録のみに終わってしまったのではないでしょうか。
で、この2曲。
いま、どんなCDに入っているかといいますと、テイチクではなく、徳間ジャパンから出ている

『R 50's 本命 親子唄~父さん~』
『R 50's 本命 親娘(おやこ)唄~母さん~』

という、比較的安価な2枚のCD、それぞれ1曲めに収められているのでした。
他の選曲は比較的地味ですが、演歌系のコンピレーションとしては聴きやすく、なかなかいい曲が揃っているように感じます。
『~母さん~』の方には、問題の「おふくろさん」や「岸壁の母」といった超メジャーな名曲が、
そして『~父さん~』の方には《演歌版リンリン・ランラン》とでも呼ぶべき(?)祐子と弥生のお二人による「父さん」、そして当時やたらと売れていた「おやじの海」プラス「◯◯酒」という曲名の無数のヒット曲、そこへ「北国の春」っぽい雰囲気を盛り込んで、よし、これなら大ヒット間違いなしだ! という、企画会議の様子がまるで目に見えるように浮かんでくる(結果は中ヒットぐらい)、朝田のぼるさんの

「おやじの酒」(!!!)

なんてところも入ってたりします。
まぁ、いずれにしても「お父さん」も「お母さん」も、いい曲には違いないです。




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八代亜紀さんの古賀メロディーと、杉良太郎さんの「チャンピオン」と。 [音楽]

ちょっと前に「ケースはペラッペラだしブックレット(歌詞カード)はついてないし、ホント世知辛い」とボヤいていた宅配レンタルですが、とんでもなく短いスパンで、またまた単品レンタルを期間限定で安くしてきました。
DVDとブルーレイは旧作のみ、CDはすべて(一部例外あり)、1枚税抜き88円(送料は別計算)。
それでオレも、前回、心残りが少々あったので、追加でもう2枚、性懲りもなく借りることにしたのでした。
なにしろ、近所からTSUTAYAが撤退してしまって、「ちょっと行かないと、満足できるレンタル屋がない」状態になってしまっているわけで(そこそこ近くにはGEOがあるんですけど……まぁ……いいじゃないですか!)、出かけてレンタルしても郵便返却なんか使うと、それがけっこうかかることを考えると、たとえ送料込みでも宅配レンタル、そう悪くはないんじゃないかな、と思って、ね。
まぁ、CDに限っての話ですけど、前にもお話したように、たとえば2枚組なら「1」ではなく「2」としてカウントされてしまうとか、いろいろあることはあるんですが、その“品揃え”は、ちょっとしたものです。
とっくに廃盤で、Amazonにもオクにも出品がなくて、もしあっても8000円だ1万超えだ、みたいなことになってるCDが、ゴロゴロしてたりするわけです。
ブックレットとかのビジュアルは置いといて、歌詞カードも無くても構わなくて、とにかくその“音源”を求めている人にとっては、という条件つきではありますが、宅配レンタル、そう悪いものでもないのかな、と。

それで、今回オレが借りることにした2枚は、まず、まぁコンプリートはあり得ないとはいえ、そろそろ終盤に差し掛かってきた《八代亜紀補完計画》の一環である、テイチク時代のレコーディングからのもので、

『八代亜紀 古賀メロディーを唄う』

コレです。
テイチク時代の亜紀さんの昭和歌謡・ポップス系・ムード歌謡のカバーものは、ひと通りなんとかなったので、いよいよモノクロームの彼方、未知の領域へと踏み込むことになりました。
といってもオレらの世代でも、古賀メロディー(流行歌の大家・古賀政男先生が作曲した楽曲群)は知らないうちに耳に入っていたのでした。
ご存知でしょうか。

「演歌チャンチャカチャン」

という、お手軽ライブ録音による、メドレーのヒット曲を。
これは「演歌系の楽曲のAメロのコードは大体いっしょなので、その部分を“チャーンカ、チャンチャンチャンチャン”でつないで行けばエンドレスで歌い続けることができる」という、まさにイグノーベル賞ものの(?)発見による楽曲で、当時の大人からお子様まで、みんな知ってて楽しんでいたものなのです。
で、実はこの「演歌チャンチャカチャン」のメドレーの中に、何曲か古賀メロディーが混じっていたのですよ。
だから「古賀メロディーなんて知らない」という人も、「演歌チャンチャカチャン」を通して古賀メロディーに触れていたわけなんです。
そんな、古賀メロディーを亜紀さんがカバーしている1枚と、あとは以前話題になった、演歌系シンガーの方々が、いわゆるJ-POP系の楽曲をカバーした録音をコンパイルしたシリーズの1枚、

『エンカのチカラ 最強Z ホワイト』

というヤーツ((c)ハライチ・岩井さん)です。
『レッド』と同時発売されたもので、それぞれ男性歌手・女性歌手のみで1枚ずつ、という構成。
もちろんこの感じ、紅白も意識しているようです。
コレにはあの、森進一さんの「I LOVE YOU」(オリジナルは尾崎豊さん)は入っていませんが、「瞳をとじて」(オリジナルは平井堅さん)は入っています。
他にも五木ひろしさんの「RIDE ON TIME」前川清さんの「HOWEVER」コレは名演です!)、定評のある吉幾三さんの「for you...」、そして杉良太郎さんの「チャンピオン」(!)など、気になるパフォーマンスだらけ。
特に杉良太郎さんの「チャンピオン」は、あの名曲中の名曲

「君は人のために死ねるか」

の制作の際、

「アリスの『チャンピオン』みたいな感じで」

というリクエストがあり、その結果がああいう形に結実した、というエピソードもありますので、これは聴かないわけにはいかないでしょう!
まだ届いていないので、もちろん2枚とも聴いていませんが、とても楽しみです!
☆5つ(Amazonのレビューの、ちょっと腰が抜けるパターンのひとつ)。


☆2014年発売。全曲、試聴は可能です。

☆2003年発売。内容は同じです。


☆2011年発売。試聴できます。

☆女性歌手編。試聴できませんが、都はるみさんの「翳りゆく部屋」がスゴいです。



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「“圭子の”夢は夜ひらく」ってタイトル、なんかスゴくない? [音楽]



「圭子の夢は夜ひらく」は、1970年、ご存知、宇多田ヒカルさんのお母さんである藤圭子さんが大ヒットさせた楽曲です(こちらは、同年収録のライブ・バージョン)。
この「圭子の夢は夜ひらく」の大元である、「夢は夜ひらく」という楽曲の発祥と発展については、ウィキペディアの「夢は夜ひらく」の項目でもごらんいただくことにして(この場を借りて、この楽曲を発掘・発展させた、曽根幸明さん、そして石坂まさをさんのお二方に、多大なる敬意を表したいと思います。R.I.P. ちなみに“大元の大元”に精神的に近いカバーとしては、三上寛さんのバージョンがございます)。
これら2曲、特に「夢は夜ひらく」は、園まりさんが歌ってヒットさせたもの(日活で映画化もされました。売り出し中だったドリフターズが、湿っぽいメロドラマであるメインのストーリーにまったく関係なく出てきて、音楽コントを披露しています…)を、ここでは主に取り上げますが、まったく印象が違うことに驚かされます。

もちろん実際に聴いてみて、ハッキリと「あ、コレは違うな」ということはできるんですが、問題はそれ以前のお話。

「夢は夜ひらく」、

そして

圭子の夢は夜ひらく」。

どうでしょう。
こうして、タイトルを並記しただけなのに、印象がガラッと変わってしまうのです。
いわば、もともとあった曲名に、人名が乗っかっただけ。
「アキラの(きよしの)ズンドコ節」的だとも言えるのですが、決定的になにかが違うのです。
これは、「ズンドコ節」に人名がかかっても「あぁ、その人(小林旭さん、氷川きよしさん)が歌うバージョンなんだな」ということで、なんというか、まぁ、終わってしまうわけなんですが(それぞれ歌詞は違いますが)、「夢は夜ひらく」の場合。
そこに「圭子の」が上乗せされることにより、「夢」はただの「夢」ではなく、

「圭子の夢」

へと、変化を遂げるわけなんです。
ただ単に「夢は夜ひらく」というタイトルだった場合、まぁ、ロマンチックだとか、せつない女心だとか、そんなイメージが浮かんでくるんですけど、この場合「“圭子の”夢」ですから。
その「夜ひらく」「“圭子の”夢」とは、いったいどんな夢なんでしょうか。
妄想は、とどまるところを知りません(知るか!)。

いずれにしましても、この

「圭子の」

がタイトルの頭につくことによって、「圭子の夢は夜ひらく」は、多くの人々のイマジネーションを喚起し、いわば

《「夢は夜ひらく」の代表作》

になってしまったわけで、たかがタイトルひとつとっても、決してバカにはできない、ということがわかるわけです。
実際、「圭子の夢は夜ひらく」以後、それぞれ新しい歌詞で、歌手名を頭につけた

「◯◯の夢は夜ひらく」

という、無数のカバー・バージョンが発表されております。
個人的になじみがあるのは、八代亜紀さんによる

亜紀の夢は夜ひらく」、

そして、ちあきなおみさんによる

ちあきの夢は夜ひらく」。

こんなあたりでしょうか。

それでもやはり、唯一無二の鈍い光を、今でも放っている

「圭子の夢は夜ひらく」。

特に、おしまいの方の

「一から十まで 馬鹿でした……」

あたりからの盛り上がる感じは、藤圭子さん(永遠に、安らかに……)にしか出せないものだと思いますね……。


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『ミッドサマー』のスゴさと、宅配レンタルの世知辛さについて。 [音楽]

さて皆さん(もちろん、浜村淳さんっぽく)。
『ミッドサマー』っちゅー映画(もちろんタイトルは、独特のイントネーションで)、ご覧になりましたか?
いやぁー、スゴかったですねぇー。
あの作品、わたくしは一種の“青春映画”だと思うんですが、皆さんはいかがだったでしょうか(って、水野晴郎センセはよく言ってました。どんな映画の時でも)。
コワいコワい、まぁ、まぁまぁ、よくあそこまでえげつないことを考えつくもんですねぇー。
私、観ている最中、座席の前の方にゲロ袋が備え付けられてないか、探しましたもん(んなわきゃぁない)。
とかなんとか、いろんなセンセを憑依させながら、冗談っぽく書いてきましたが、もう限界です。


私はもう、ボロボロです。(じゃなくて)

『ミッドサマー』は二度と観ません。
もちろん、ディレクターズカットも、観に行きません。
当然、『ミッドサマー』の話も、もうしません。たぶん。


この件につきましては、以上(異常)でございます。



さて皆さん(浜村淳さんふたたび)。
つい先日わたくし、生まれて初めて“宅配レンタル”、というやつを、お試しではなく実際に支払いをする形で、使ってみたんです。
関係ないですけど、最近わたくし「生まれて初めて」、ってやつが多いですねぇー。
別に『アナ雪』が好きとかそういうわけでもないんですけど(オラフは好き。声は戻してほしいと思う……。)、食あたりになって点滴打ってもらったのも「生まれて初めて」でしたし。
そうそう。
ある大手レンタルチェーン系列の宅配レンタルなんですが、以前に会員登録だけして、そのままにしておいたんですね。
それで時々メルマガが届いてたんですが、いわゆる定額制ではない、ワンスポットでの1枚あたりの料金が期間限定で安くなってるので、借りてみて下さい、みたいなのが来たわけです。
それで、ご存知の通り(かどうかは知らないけど、このまま書きます)、いま八代亜紀さんがマイブームになっているわたくしとしては、オクでもAmazonでも買えないようなCDを、そこのサイトで探してみたわけですけど、そしたらあるのなんの。
特に、アナログはオクで500円とかでなんとかなるけど、CDの方はどうにもならないという、当時2枚組のアナログで出て、CDも2枚組で出た、ライブ盤の数々が、あるじゃないですか!
というわけで、そういったライブ盤の数々をガシガシとカートに入れて、ついでに5曲ぐらい(亜紀さんの歌では)聴いたことのない昭和歌謡のカバーが入っていて、いまAmazonで8000円ぐらいになってる2枚組のコンピレーションも入れて、発送を待ったわけです。
思えばその間、「ご利用ガイド」とか「初めての方へ」とか、そういうとこを見ておいたらよかったんですけど……ね。
中1日ほどで届いた、その封筒を見て、思わず『新婚さんいらっしゃい!』の桂文枝(三枝)師匠じゃないですけど、ひっくり返りそうになりましたよ。
あの、通販のダイレクトメールが入ってくるみたいな、ちょっと油断したら捨ててしまいそうな、ビニールの封筒。
それを往復で使う、っていうんですね。
で、中には入ってました、CDが。確かに。
極薄の(うすうす、ともいう?)ペラペラしたケースに、ディスクが2枚ずつ。
あれ、ブックレットは……?!

そうなんです。
ブックレット(歌詞カード)、なし。
とりわけ、ライブ盤のCDということで、ビジュアル的な要素も楽しみにしてたんですけど、ディスクしかないとは。
あと、通常のレンタル屋さんや図書館とは違って、2枚組だったら「2枚」として計算されてしまうという……。
加えて、それぞれのコンサートの基本的なデータも知りたかったのに、それも自分で調べるしかない。
(調べましたよ。目の前にある、このブツ(PC)で!)
ケロヨンじゃないけど、すっかりショボーンとなりながら、粛々とCDの取り込み作業に精を出しましたとさ。
でもまぁ、ディスクそのものは無事に届いているわけですから、この場合それでよし、とすべきなんでしょうね。
それぞれ、少しずつ聴いてみると、大がかりな歌謡ショー、といった趣きで、玉置宏さんとか、八木治郎さんとか、往年の名司会者の方が(いない場合もあり)案内役を務め、あとは亜紀さんの、キュートなおしゃべりと、そしてスタジオ録音より良かったりもする、その歌と。
バックの演奏も、宮間利之&ニューハードとか、ダン池田&ニューブリード(!)とか、迫力ありますし、アレンジがいちいち大げさなのも「味」になってて、この場合「アリ」ですね。
まぁ、もし今買ったら5万はするCDをガッツリ借りたんですから、ガッツリ聴いた上で、さっさとポストに返すことにしましょうか。

ちなみに、本日のBGMは、コロムビア時代の亜紀さんのベスト盤でした。
ライトな感じが、なかなかよいのです。
どうもテイチク時代の音だと聴き入ってしまって、作業が進まないんですよね。

それではまた、この場所で、
あなたと!
お会いしましょう。


2020年3月11日、ユニバーサルから発売された、亜紀さんのニューシングル。
 武部聡志さんのピアノと組んだ、新録の「舟唄」が素晴らしいのです。


☆今回の記事で取り上げた亜紀さんのライブ盤のうち、唯一まともな価格で購入できる、1977年の『燃えて翔べ』。亜紀さんのMCが、とにかくカワイイ。

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マイトガイ・小林旭とアニソンの、意外な関係とは?(ちょっと強引) [音楽]

観ましたよ、Amazonプライムビデオで、小林旭(以下、アキラと記す)主演の

『多羅尾伴内』

(無料ではないんですけど)。
いやもう、最盛期の八代亜紀さん(美しい……)が出てきて「愛の條件」を歌ったり、アン・ルイスさんが出てきて、友人であるユーミン書きおろしの(セルフカバーもあります)「甘い予感」を披露したり、かと思うとピンク・レディー……の類似品グループのひとつで、まぁ「がんばったがダメ」((c)大槻ケンヂさん)だったキャッツ・アイという2人組が出てきて「導火線」という歌を激しい振り付きで歌ってみたり。
あ、もちろんアキラもいくつかの変装のひとつ=流しの歌手として大ヒット曲「昔の名前で出ています」を披露するなど、にぎやかなことこの上ないんですが、そんなこんなも、劇中巻き起こる猟奇的な殺人事件の前では、影が薄くなってしまうのです。
実際オレは、公開当時この『多羅尾伴内』を映画館で観ているのですが、そのシーンがトラウマになってしまって、他の部分がどうだったかとか、今回ようやく思い出したほどですから。
その事件、戦後まもなく実際に宝塚歌劇の公演中に起こったある惨劇を下敷きにしていることはほぼ間違いないのですが(興味のある方は「宝塚歌劇 胴体」でぐぐってみて下さい。亡くなられた方のご冥福を、心からお祈り申し上げます……。)、いや、もう、あんなことが実際に目の前で起こったら、どうにかなっちゃうでしょうね。
それにしても、日活時代からするといくらか贅肉もつきつつあったとはいえ、
アキラはカッコよかった。
前後して、同じ東映(と12チャンネル)が子供向けテレビ番組として制作・放映していた、

『快傑ズバット』

が、まさにアキラの代表作であるところの

《渡り鳥シリーズ》

をモチーフとしていたこともあってか(いや、偶然でしょうけど。ただし『ズバット』の原作と、『多羅尾伴内』のコミカライズ小池一夫先生と共作)は、どちらも石ノ森章太郎先生、という共通性は、一応あります)、短いアクションシーンであっても、アキラの

「『ズバット』とかいうのをやってる、宮内(洋さん)には負けないぜ!」

という心の声が聞こえてきそうなハッスルぶり。
いや、敬服いたしました。
当時の東映にあって、本当に数少なかった清純派女優だった竹井みどりさん(可憐だ……)のお姿も拝見できましたし、充実したひとときを過ごすことができました。


そんなある日、ふと気付いたんです。
あれは、そう、大瀧詠一さん監修・選曲による『アキラ 4』という、「自動車ショー歌」とか「宇宙旅行の渡り鳥」(!!!)とか、ちょっとアレな感じの曲ばっかし集めてあるCDを聴いていた時のことでした。
その中に

「ショーがないね節」
というですね、もー本当にショーがないほどの名曲が入っておりまして(そうそう。あの「赤いトラクター」も入ってますよ!)、なんといっても歌の中で

「夜がまた来る ショーがないね ショーがないね~~~♪」

と、ご自分のセルフパロディーもやってのけていらっしゃる(「夜がまた来る」とは、アキラのこれまた名曲「さすらい」の歌い出しの一節でありまして、そこに「ショーがないね~~~♪」と来られてしまうと、間寛平ちゃんではないですけど、アヘアヘウヒハ、みたいな感じに思わず腰が砕けてしまいそうになるわけで)、そんなところも含め、実にカッコいいんですよね、トータルでいくと。
そんな「ショーがないね節」、バックのサウンドが、これまたカッコいいのなんの。
いわゆる“和モノ・レアグルーヴ”というか、もう異常なまでにカッコいい。
イントロなんか聴いてると、まるで秘密基地から何かのマシーンが発進しちゃいそうな雰囲気すらあります。
そう。
なんだかこの「ショーがないね節」のバックのサウンド、どうも『ゲッターロボ』だとか、あの辺のアニメの主題歌と共通のグルーヴを持っているようなのです。
これには、どうやら

「演奏している人が、だいたい同じ」

という事情も、大きく作用しているみたいです。
かつてのスタジオ・ミュージシャンという仕事は、基本的にノンジャンルで、なんとその日演奏する曲が、演歌なのかポップスなのか、童謡なのかあるいはちょっとエッチなムードのBGMなのか(中古レコード屋さんに行くとわかりますけど、かつてはそういった類のレコードの需要も、一定数あったんですよ……)、スタジオに出向いてみないとわからない、ということがほとんどだったそうなんですね。
で、ミュージシャンの皆さんはプロですから、それぞれ曲調に合わせたプレイをこなして行くわけですけど、時にはこの、アキラの「ショーがないね節」のように、歌謡曲でありながら、まるでアニソンのようにアップテンポでノリのいい楽曲に当たることも、あるわけです。
ここでのミュージシャンの皆さん、まさにノリノリで、120%以上の実力を発揮しておられます。
決して真面目な歌とは呼べないかもしれません(というか、むしろふざけてる)。
しかし、真面目に、楽しんでプレイすることによって、アキラのすっとぼけた歌いっぷりが、より活きることになるわけですね。
「ショーがないね節」。
決してショーがなくない、アキラのコミカル路線における傑作のひとつと言えるでしょう。
(文中一部敬称略)


☆レンタルは300円から。監督は『トラック野郎』シリーズの鈴木則文さんです。


☆世間が騒がしいこういう時こそ、こういうバカバカしい名曲の数々が必要なのです。ぜひ!


☆こちらはコンパクトなアキラ名曲撰。「落日」「夢ん中」と選曲もナイス。「オロロン慕情」が入ってたら完璧だったかも。

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八代亜紀入門・その3〔完〕。 [音楽]

さて皆さん(浜村淳さんっぽく)。
小学生時代の一時期、オレは山形市という、ちょっと都会的な部分もある、愛すべき田舎町に住んでいましたが、実は当時の山形という町、今から思うと公開録画・公開録音のたぐいがやたらと多く、しょっちゅう人気歌手のみなさんがやって来てはその歌声を披露してくれていたのでした。
だからたとえば、いわゆる《花の◯◯トリオ》の森昌子さん・桜田淳子さん・そして山口百恵さんは、3人とも生で見たことがありますし、他にもオレが目にしたアーティストのみなさんの名前を列挙して行ったら、けっこうなインパクトになるだろうとは思うんです、えぇ。
しかし、それにしても、八代亜紀さんはどうだったかな、と思っても、ちょっと思い出せないのですね。
“生八代亜紀”(語感が「生八つ橋」みたいだな……)、果たして幼いオレは、目にしたのでしょうか……?

今回はそんな、なかば幻の存在となっている、テイチク時代の亜紀さんの楽曲のいくつかを取り上げて、ちょっと語ってみたいと思います。
「入門」と称したわりに、ディープな世界になるかもしれませんが、
読者のみなさん、お許しください!

まずは、そう、「愛ひとすじ」(1974年・オリコン10位)。
コレですね。
実数としてヒットしただけでなく、有線大賞グランプリなどの賞も獲得し、紅白でも歌唱しているのですから、文句なしの代表作のひとつ、と呼んで差し支えないわけです。
そんな「愛ひとすじ」が、1990年代に入ったあたりから、テイチク発売のベスト盤やCD-BOXからオミットされるようになり、それは実質的に今日まで、続いているのです。
なんでか?堺すすむさんのように……は、読まなくてもいいです)
それはひとえに、川内康範先生入魂の歌詞、その中の3番の歌い出し「愛ひとすじ 歌詞」でぐぐれば、すぐわかります)、この部分の一節に、テイチクの皆さんが過剰に反応されて、自主規制なさっているという、その一点に尽きるのではないかと、私は考える次第です。
川内先生に、その“ことば”に該当する人々を差別したり卑下したりといった、そういった意図は、まったくなかったものと、私は考えます。
2019年、1000セット限定ということで発売された『オリジナル・スーパーベスト』の中に、ようやく「愛ひとすじ」は収録されましたが、これは「限定盤」ということで今回はどーかひとつ、という感じが、どうしてもしてしまうわけなんですね。
実のところ、「愛ひとすじ」に関して私たちが求めているのは、「普通に売ってるベスト盤で、いつでも聴ける」という、その一点。
それだけなんです。
この「愛ひとすじ」に始まる“愛・三部作”「愛の執念」(1974年・オリコン9位)、少し間隔があいて「愛の條件」(1978年・オリコン21位)と続きますが、実際のところ、最も歌詞がキョーレツなのは「愛の執念」ではないでしょうか。
「俺から逃げられないぜ!」ではなく、「私からは逃げられないわよ、あなた……!」という世界。
でも、テイチク時代の亜紀さんのビジュアルだったら、こんなこと歌われても納得かなぁ……。

さて、「ベスト盤収録はおろか、CD化もされてるかどうかというシングルA面曲」は、他にもございます。
発売順に、

「夢魔のブルース」(1976年・オリコン69位)
「あい逢い横丁」(1976年・オリコン87位)
「はまなすの花が咲いたら」(1982年・チャートインなし)

といったところが、現在のところ、地味な扱いとなっているようです。
オリコンの実績を見ていただいておわかりのように、これらは大きなヒットにはなっていません。
「夢魔のブルース」は、“愛・三部作”の川内康範先生作詞(出た!)。
青江三奈さんの「眠られぬ夜のブルース」ばりの暗黒路線(でも、ちょっと笑っちゃう)が期待できそうです(この曲だけ未聴)。
「あい逢い横丁」は、テレビドラマ『玉ねぎ横丁の花嫁さん』の主題歌だったようで、そういった分野に明るい、「太陽がくれた季節」などで知られるいずみ・たくさんが作曲。亜紀さんの歌唱の方も、サンダルばきのような、ちょっと庶民的な雰囲気をかもし出しているようです。
曲調自体はマイナー(短調)ですが、メジャー(長調)でエンディングを迎えるのも、ちょっとユニーク。
この曲だけ、CD化が確認されています(2017年発売の『激唱 八代亜紀 流行歌 3』に収録)。
そして「はまなすの花が咲いたら」は、実はけっこう重要な1曲でありまして、このシングルを最後に、亜紀さんはテイチクを離れることになったので、そういった意味でも、あまりいい加減に扱わないでいただきたい1曲です。
この曲も、同名のテレビドラマの主題歌で、吉田拓郎さんとのコンビで知られる岡本おさみさんが作詞、ピコという名でも知られる、日本のソフトロックの重要人物・樋口康雄さんが作編曲を手がけており、八代亜紀さんの作品でありながら『ソフトロック・ドライヴィン』に入っていてもおかしくないような、やわらかな手ざわりの、やさしい楽曲に仕上がっています。
テイチクさんには、これから徐々に、このあたりのやや埋もれている楽曲に光を当てることにも、力を入れていただきたいものです。

まぁ、あまり意味のないことを、3回にわたってウダウダと書いて参りましたが、要するに

「買っても、レンタルでも、ストリーミングでもいいから、とにかくテイチク時代の八代亜紀を聴け!」

という、このひとことに尽きますね。
今はそんなでもなくても、いつか心にグッと来る、そんな日が必ず訪れるはずです。


☆「愛ひとすじ」「愛の執念」「愛の條件」をまとめて収録。限定1000セット。お早めに。


☆「あい逢い横丁」を収録。「おんな港町」ほかのヒット曲も、リミックスされているように聴こえますが、果たして……?


☆今回、BGMに使わせていただいたアルバム。近年の亜紀さんのお仕事の中でも魅力的に感じられる、2015年の作品。クレイジーケンバンドの横山剣さん、THE BAWDIES、中村中さんらが楽曲を提供しています。

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