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マイトガイ・小林旭とアニソンの、意外な関係とは?(ちょっと強引) [音楽]

観ましたよ、Amazonプライムビデオで、小林旭(以下、アキラと記す)主演の

『多羅尾伴内』

(無料ではないんですけど)。
いやもう、最盛期の八代亜紀さん(美しい……)が出てきて「愛の條件」を歌ったり、アン・ルイスさんが出てきて、友人であるユーミン書きおろしの(セルフカバーもあります)「甘い予感」を披露したり、かと思うとピンク・レディー……の類似品グループのひとつで、まぁ「がんばったがダメ」((c)大槻ケンヂさん)だったキャッツ・アイという2人組が出てきて「導火線」という歌を激しい振り付きで歌ってみたり。
あ、もちろんアキラもいくつかの変装のひとつ=流しの歌手として大ヒット曲「昔の名前で出ています」を披露するなど、にぎやかなことこの上ないんですが、そんなこんなも、劇中巻き起こる猟奇的な殺人事件の前では、影が薄くなってしまうのです。
実際オレは、公開当時この『多羅尾伴内』を映画館で観ているのですが、そのシーンがトラウマになってしまって、他の部分がどうだったかとか、今回ようやく思い出したほどですから。
その事件、戦後まもなく実際に宝塚歌劇の公演中に起こったある惨劇を下敷きにしていることはほぼ間違いないのですが(興味のある方は「宝塚歌劇 胴体」でぐぐってみて下さい。亡くなられた方のご冥福を、心からお祈り申し上げます……。)、いや、もう、あんなことが実際に目の前で起こったら、どうにかなっちゃうでしょうね。
それにしても、日活時代からするといくらか贅肉もつきつつあったとはいえ、
アキラはカッコよかった。
前後して、同じ東映(と12チャンネル)が子供向けテレビ番組として制作・放映していた、

『快傑ズバット』

が、まさにアキラの代表作であるところの

《渡り鳥シリーズ》

をモチーフとしていたこともあってか(いや、偶然でしょうけど。ただし『ズバット』の原作と、『多羅尾伴内』のコミカライズ小池一夫先生と共作)は、どちらも石ノ森章太郎先生、という共通性は、一応あります)、短いアクションシーンであっても、アキラの

「『ズバット』とかいうのをやってる、宮内(洋さん)には負けないぜ!」

という心の声が聞こえてきそうなハッスルぶり。
いや、敬服いたしました。
当時の東映にあって、本当に数少なかった清純派女優だった竹井みどりさん(可憐だ……)のお姿も拝見できましたし、充実したひとときを過ごすことができました。


そんなある日、ふと気付いたんです。
あれは、そう、大瀧詠一さん監修・選曲による『アキラ 4』という、「自動車ショー歌」とか「宇宙旅行の渡り鳥」(!!!)とか、ちょっとアレな感じの曲ばっかし集めてあるCDを聴いていた時のことでした。
その中に

「ショーがないね節」
というですね、もー本当にショーがないほどの名曲が入っておりまして(そうそう。あの「赤いトラクター」も入ってますよ!)、なんといっても歌の中で

「夜がまた来る ショーがないね ショーがないね~~~♪」

と、ご自分のセルフパロディーもやってのけていらっしゃる(「夜がまた来る」とは、アキラのこれまた名曲「さすらい」の歌い出しの一節でありまして、そこに「ショーがないね~~~♪」と来られてしまうと、間寛平ちゃんではないですけど、アヘアヘウヒハ、みたいな感じに思わず腰が砕けてしまいそうになるわけで)、そんなところも含め、実にカッコいいんですよね、トータルでいくと。
そんな「ショーがないね節」、バックのサウンドが、これまたカッコいいのなんの。
いわゆる“和モノ・レアグルーヴ”というか、もう異常なまでにカッコいい。
イントロなんか聴いてると、まるで秘密基地から何かのマシーンが発進しちゃいそうな雰囲気すらあります。
そう。
なんだかこの「ショーがないね節」のバックのサウンド、どうも『ゲッターロボ』だとか、あの辺のアニメの主題歌と共通のグルーヴを持っているようなのです。
これには、どうやら

「演奏している人が、だいたい同じ」

という事情も、大きく作用しているみたいです。
かつてのスタジオ・ミュージシャンという仕事は、基本的にノンジャンルで、なんとその日演奏する曲が、演歌なのかポップスなのか、童謡なのかあるいはちょっとエッチなムードのBGMなのか(中古レコード屋さんに行くとわかりますけど、かつてはそういった類のレコードの需要も、一定数あったんですよ……)、スタジオに出向いてみないとわからない、ということがほとんどだったそうなんですね。
で、ミュージシャンの皆さんはプロですから、それぞれ曲調に合わせたプレイをこなして行くわけですけど、時にはこの、アキラの「ショーがないね節」のように、歌謡曲でありながら、まるでアニソンのようにアップテンポでノリのいい楽曲に当たることも、あるわけです。
ここでのミュージシャンの皆さん、まさにノリノリで、120%以上の実力を発揮しておられます。
決して真面目な歌とは呼べないかもしれません(というか、むしろふざけてる)。
しかし、真面目に、楽しんでプレイすることによって、アキラのすっとぼけた歌いっぷりが、より活きることになるわけですね。
「ショーがないね節」。
決してショーがなくない、アキラのコミカル路線における傑作のひとつと言えるでしょう。
(文中一部敬称略)


☆レンタルは300円から。監督は『トラック野郎』シリーズの鈴木則文さんです。


☆世間が騒がしいこういう時こそ、こういうバカバカしい名曲の数々が必要なのです。ぜひ!


☆こちらはコンパクトなアキラ名曲撰。「落日」「夢ん中」と選曲もナイス。「オロロン慕情」が入ってたら完璧だったかも。

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