SSブログ

「映画を観に行く」、ということの幸せ。そして杉良太郎さんのスゴさ。 [映画]

実は映画に関して、今日はボヤこうと思っていたんですよ。
ネットで座席をとろうとしたものの、システムエラーとやらで結局とれなかった、という。
ちなみに映画は、ようやくこっち(仙台)にやってきた、チョウ・ユンファの復活作
『プロジェクト グーテンベルク 贋札王』(過去記事、ご参照ください)。
「やってきた」はいいものの、アート系シアターの、まるで試写室みたいに小さなところで(たぶん、タモさん家のホームシアターの方がずっとスゴいはず)、テンション下がる下がる……なんて、身内相手にはグチグチ言ってたわけですけど。
いま、そういうことのひとつひとつ、グチグチ言えることが、実は幸せなんだな、と思うわけなんです。
もちろん、いろいろと慎重になりつつも、出かけることができるというのは、なんて幸せなことなんだろうか、と。
なんかこう、絵空事だとばかり思っていた『復活の日』のような状況が、今、世界中のそこここにある中で、「映画を観に出かける」ことができるって、なんてぜいたくなことなんだろう。
いずれはこの仙台も、東京みたいな状況になるのかもしれないけれど、とりあえず今は、落ち着いている感じです。
本当におだやかな日々が戻ってくるまで、せめて心だけでも、おだやかに過ごしましょう。

さて、宅配レンタルで聴いた2つのCDのうちのふたつめ、演歌系の男性歌手(※美川もいるわよ)がJ-POPや洋楽をカバーしているコンピレーション、

『エンカのチカラ 最強Z ホワイト』。

これ、図書館なんかの貸出状況をみると、女性歌手編の『レッド』よりも人気があるようなのですが、ぶっちゃけ、個人的には『レッド』の方がよかったです。
なんでか?(例によって、堺すすむさんっぽく)
自分でも特に思い当たらないのですが、あんまりスムーズに入ってこなかったんですね、『ホワイト』は。
もちろん、細川たかしさんの「恋」(オリジナルは松山千春さん)、ジョージ山本こと山本譲二さんの「もしもピアノが弾けたなら」(オリジナルは西田敏行さん)、松原健之さんの「初恋」(オリジナルは村下孝蔵さん)、などといった名演もあるのですが。

というか、
杉良太郎さんの「チャンピオン」(オリジナルはアリス)がスゴすぎた。

なんというか、圧倒的な説得力? をもって歌い上げる、杉良太郎さん。
やはりあの「君は人のために死ねるか」の、ある意味プロトタイプといわれるだけのことはありました。
もちろん、その「君は人のために死ねるか」が超絶名曲であることは間違いのないところなのですが。
実はわたくし、そんな「君は人のために死ねるか」が、杉良太郎さんの《通常運転》だということに、また別なある楽曲を聴いて、気づいてしまったんですね。
ゆえあって、図書館で

『股旅・任侠演歌 定番ベスト』

というCDを借りて参りまして、その中に杉良太郎さんの「瞼の母」という、セリフ入りの楽曲が入っていたんですよ。
その「瞼の母」の、セリフが、これまたスゴかった。
「君は人のために死ねるか」は、いきなり歌になったりセリフになったり縦横無尽であったわけですけど、「瞼の母」の場合、2番の前と3番の前にセリフが入るわけです。
その、決して長くはない時間の中に、杉良太郎さんはいわゆる喜怒哀楽の

「喜」「怒」「哀」「楽」

をすべて取り込み、表現してみせるのです。ホントに。
これ、どちらかというと舞台、オン・ステージでこそふさわしい表現かと思うのですが、杉良太郎さんはそれをレコード(あえて「レコード」と呼ばせていただきます)で、やり切ってしまう。
トゥー・マッチだと感じる方もいらっしゃるでしょうが、これこそ、杉良太郎さんが杉良太郎さんであるアイデンティティーなのでしょう。

すごい。
すごすぎる。
このひとことに尽きます。
いろんな意味で。

☆セリフ部分はかなり繊細な表現のため、ややボリューム大きめでどうぞ。

nice!(11) 
共通テーマ:映画

まだまだあった、八代亜紀さんのレア・トラックス!(CD編) [音楽]

聴きました。
八代亜紀さんの古賀メロディー、テイチク時代のレコーディング。
どうやら、テイチクに所属すると、ほとんどのアーティストの方は、古賀メロディーをレコーディングするのがならわしらしく(今も一部、続いているかと思われますが)、亜紀さんもおそらくアナログLPで2枚分・24曲近くはレコーディングしているのではないかと推察されます。
それにしても、テイチク時代のオリジナル曲以外の亜紀さんのレコーディング、とにかくバラエティーに富みすぎ!
筒美京平さん作曲の「東京ららばい」「飛んでイスタンブール」から、「影を慕いて」「酒は涙か溜息か」まで、まぁ、近年のボーダーレスなご活躍も納得がゆくラインナップではあるのですが、なにしろその量というか曲数が膨大で、いったいどうやって亜紀さんはノド・体調・健康を維持していたのだろうかと、はるか昔のことながら、勝手に心配してしまうオレだったのでした。
……あ、そうそう。亜紀さんの古賀メロディーのことでしたね。
もともと亜紀さんの男歌には定評があり、ここでもそのあたりはうまくこなしておられますが、メロディーラインがちょっとカワイイ感じの楽曲になると、これがまたキュートな魅力を発散しておりまして、「東京娘」桜たまこさんのヒット曲とは同名異曲)なんか、モダンでキュートで、いいですよ。
最近はオンエアされる頻度も減ってしまいましたが、『ラジオ深夜便』の3時台で時々オンエアされる、戦前の流行歌のハイカラでモダンな感じ、そのエッセンスは亜紀さんの歌う古賀メロディーの中にもあって、よく感じ取ることができ、とても素敵です。

さて、今日のタイトルにある「亜紀さんのレア・トラックス」なんですが、これはCDで集めている場合と、アナログで集めている場合とで、かなり事情が違ってくるようです。
たとえばアナログ中心派の方の場合、テイチク時代のオリジナル・シングル曲のコンプリートは比較的簡単ですし(以前書いた通り、いまだCD化されていないシングルA面曲が2曲だけあるのです…)、レアなシングルとなると、横浜・伊勢佐木町の商店会が制作した(で、合ってるよね?)

「モール・イセザキ」

とか、そのくらいだと思いますし、CD化されていないシングルB面曲、アルバム曲などに関しても、とにかく「ブツはある」わけですし、そう高価でもないので、入手に難儀することもそうないとは思うんですけど、これが「CDで集める」となると、なかなか難儀なんですよねコレが。
こう、なんというか、日々手さぐりでいろいろ物色していると、本当に偶然に、ものすごいレアな楽曲に遭遇することがあるんです(もちろん、アナログ中心派の方々には、よくある曲かもしれないんですけど)。
それが今回、ご紹介する

「お父さん」

と、

「お母さん」

の、2曲です。
これら2曲の尋常でないところは、どちらにも「愛ひとすじ」川内康範先生がからんでおられることで、「お父さん」は作詞(作曲は「なみだ恋」や最新シングル「明日に生きる愛の歌」などを手がけている鈴木淳さん)、「お母さん」は作詞・作曲の両方を担当されています。
リアルタイムでは結局、アルバムに収められて発表されたようですが、2曲ともかなり力が入っておりまして、「お父さん」は歌が始まる前に、ちょっと長いセリフがあります。
タイトルも「お父さん」「お母さん」で、対の関係ですし、ちょっと考えるとこの2曲、シングル化前提で制作されたとみるのが自然だ、という気がしております。
だがしかし、なんでこの2曲が当時、アルバム収録で終わったのか。
それもまた、けっこう容易にわかってしまうところが、ちょっと悲しかったりするわけですが。
それはこの「お母さん」の歌詞が、同じ川内康範先生の作詞による名曲で、近年騒動にもなった

「おふくろさん」

と、ほとんどいっしょだ、ということなんですね……。
確かに同じ川内先生の作品とはいえ、「お母さん」の歌詞(「お父さん」「お母さん」2曲とも、ネット上で読むことができます)は、あまりにも「おふくろさん」っぽ過ぎやしないか。
おそらく、そのあたりのなんだかんだがネックになって、この「お父さん」「お母さん」の2曲は、アルバム収録のみに終わってしまったのではないでしょうか。
で、この2曲。
いま、どんなCDに入っているかといいますと、テイチクではなく、徳間ジャパンから出ている

『R 50's 本命 親子唄~父さん~』
『R 50's 本命 親娘(おやこ)唄~母さん~』

という、比較的安価な2枚のCD、それぞれ1曲めに収められているのでした。
他の選曲は比較的地味ですが、演歌系のコンピレーションとしては聴きやすく、なかなかいい曲が揃っているように感じます。
『~母さん~』の方には、問題の「おふくろさん」や「岸壁の母」といった超メジャーな名曲が、
そして『~父さん~』の方には《演歌版リンリン・ランラン》とでも呼ぶべき(?)祐子と弥生のお二人による「父さん」、そして当時やたらと売れていた「おやじの海」プラス「◯◯酒」という曲名の無数のヒット曲、そこへ「北国の春」っぽい雰囲気を盛り込んで、よし、これなら大ヒット間違いなしだ! という、企画会議の様子がまるで目に見えるように浮かんでくる(結果は中ヒットぐらい)、朝田のぼるさんの

「おやじの酒」(!!!)

なんてところも入ってたりします。
まぁ、いずれにしても「お父さん」も「お母さん」も、いい曲には違いないです。




nice!(10) 
共通テーマ:音楽

八代亜紀さんの古賀メロディーと、杉良太郎さんの「チャンピオン」と。 [音楽]

ちょっと前に「ケースはペラッペラだしブックレット(歌詞カード)はついてないし、ホント世知辛い」とボヤいていた宅配レンタルですが、とんでもなく短いスパンで、またまた単品レンタルを期間限定で安くしてきました。
DVDとブルーレイは旧作のみ、CDはすべて(一部例外あり)、1枚税抜き88円(送料は別計算)。
それでオレも、前回、心残りが少々あったので、追加でもう2枚、性懲りもなく借りることにしたのでした。
なにしろ、近所からTSUTAYAが撤退してしまって、「ちょっと行かないと、満足できるレンタル屋がない」状態になってしまっているわけで(そこそこ近くにはGEOがあるんですけど……まぁ……いいじゃないですか!)、出かけてレンタルしても郵便返却なんか使うと、それがけっこうかかることを考えると、たとえ送料込みでも宅配レンタル、そう悪くはないんじゃないかな、と思って、ね。
まぁ、CDに限っての話ですけど、前にもお話したように、たとえば2枚組なら「1」ではなく「2」としてカウントされてしまうとか、いろいろあることはあるんですが、その“品揃え”は、ちょっとしたものです。
とっくに廃盤で、Amazonにもオクにも出品がなくて、もしあっても8000円だ1万超えだ、みたいなことになってるCDが、ゴロゴロしてたりするわけです。
ブックレットとかのビジュアルは置いといて、歌詞カードも無くても構わなくて、とにかくその“音源”を求めている人にとっては、という条件つきではありますが、宅配レンタル、そう悪いものでもないのかな、と。

それで、今回オレが借りることにした2枚は、まず、まぁコンプリートはあり得ないとはいえ、そろそろ終盤に差し掛かってきた《八代亜紀補完計画》の一環である、テイチク時代のレコーディングからのもので、

『八代亜紀 古賀メロディーを唄う』

コレです。
テイチク時代の亜紀さんの昭和歌謡・ポップス系・ムード歌謡のカバーものは、ひと通りなんとかなったので、いよいよモノクロームの彼方、未知の領域へと踏み込むことになりました。
といってもオレらの世代でも、古賀メロディー(流行歌の大家・古賀政男先生が作曲した楽曲群)は知らないうちに耳に入っていたのでした。
ご存知でしょうか。

「演歌チャンチャカチャン」

という、お手軽ライブ録音による、メドレーのヒット曲を。
これは「演歌系の楽曲のAメロのコードは大体いっしょなので、その部分を“チャーンカ、チャンチャンチャンチャン”でつないで行けばエンドレスで歌い続けることができる」という、まさにイグノーベル賞ものの(?)発見による楽曲で、当時の大人からお子様まで、みんな知ってて楽しんでいたものなのです。
で、実はこの「演歌チャンチャカチャン」のメドレーの中に、何曲か古賀メロディーが混じっていたのですよ。
だから「古賀メロディーなんて知らない」という人も、「演歌チャンチャカチャン」を通して古賀メロディーに触れていたわけなんです。
そんな、古賀メロディーを亜紀さんがカバーしている1枚と、あとは以前話題になった、演歌系シンガーの方々が、いわゆるJ-POP系の楽曲をカバーした録音をコンパイルしたシリーズの1枚、

『エンカのチカラ 最強Z ホワイト』

というヤーツ((c)ハライチ・岩井さん)です。
『レッド』と同時発売されたもので、それぞれ男性歌手・女性歌手のみで1枚ずつ、という構成。
もちろんこの感じ、紅白も意識しているようです。
コレにはあの、森進一さんの「I LOVE YOU」(オリジナルは尾崎豊さん)は入っていませんが、「瞳をとじて」(オリジナルは平井堅さん)は入っています。
他にも五木ひろしさんの「RIDE ON TIME」前川清さんの「HOWEVER」コレは名演です!)、定評のある吉幾三さんの「for you...」、そして杉良太郎さんの「チャンピオン」(!)など、気になるパフォーマンスだらけ。
特に杉良太郎さんの「チャンピオン」は、あの名曲中の名曲

「君は人のために死ねるか」

の制作の際、

「アリスの『チャンピオン』みたいな感じで」

というリクエストがあり、その結果がああいう形に結実した、というエピソードもありますので、これは聴かないわけにはいかないでしょう!
まだ届いていないので、もちろん2枚とも聴いていませんが、とても楽しみです!
☆5つ(Amazonのレビューの、ちょっと腰が抜けるパターンのひとつ)。


☆2014年発売。全曲、試聴は可能です。

☆2003年発売。内容は同じです。


☆2011年発売。試聴できます。

☆女性歌手編。試聴できませんが、都はるみさんの「翳りゆく部屋」がスゴいです。



nice!(10) 
共通テーマ:音楽

「“圭子の”夢は夜ひらく」ってタイトル、なんかスゴくない? [音楽]



「圭子の夢は夜ひらく」は、1970年、ご存知、宇多田ヒカルさんのお母さんである藤圭子さんが大ヒットさせた楽曲です(こちらは、同年収録のライブ・バージョン)。
この「圭子の夢は夜ひらく」の大元である、「夢は夜ひらく」という楽曲の発祥と発展については、ウィキペディアの「夢は夜ひらく」の項目でもごらんいただくことにして(この場を借りて、この楽曲を発掘・発展させた、曽根幸明さん、そして石坂まさをさんのお二方に、多大なる敬意を表したいと思います。R.I.P. ちなみに“大元の大元”に精神的に近いカバーとしては、三上寛さんのバージョンがございます)。
これら2曲、特に「夢は夜ひらく」は、園まりさんが歌ってヒットさせたもの(日活で映画化もされました。売り出し中だったドリフターズが、湿っぽいメロドラマであるメインのストーリーにまったく関係なく出てきて、音楽コントを披露しています…)を、ここでは主に取り上げますが、まったく印象が違うことに驚かされます。

もちろん実際に聴いてみて、ハッキリと「あ、コレは違うな」ということはできるんですが、問題はそれ以前のお話。

「夢は夜ひらく」、

そして

圭子の夢は夜ひらく」。

どうでしょう。
こうして、タイトルを並記しただけなのに、印象がガラッと変わってしまうのです。
いわば、もともとあった曲名に、人名が乗っかっただけ。
「アキラの(きよしの)ズンドコ節」的だとも言えるのですが、決定的になにかが違うのです。
これは、「ズンドコ節」に人名がかかっても「あぁ、その人(小林旭さん、氷川きよしさん)が歌うバージョンなんだな」ということで、なんというか、まぁ、終わってしまうわけなんですが(それぞれ歌詞は違いますが)、「夢は夜ひらく」の場合。
そこに「圭子の」が上乗せされることにより、「夢」はただの「夢」ではなく、

「圭子の夢」

へと、変化を遂げるわけなんです。
ただ単に「夢は夜ひらく」というタイトルだった場合、まぁ、ロマンチックだとか、せつない女心だとか、そんなイメージが浮かんでくるんですけど、この場合「“圭子の”夢」ですから。
その「夜ひらく」「“圭子の”夢」とは、いったいどんな夢なんでしょうか。
妄想は、とどまるところを知りません(知るか!)。

いずれにしましても、この

「圭子の」

がタイトルの頭につくことによって、「圭子の夢は夜ひらく」は、多くの人々のイマジネーションを喚起し、いわば

《「夢は夜ひらく」の代表作》

になってしまったわけで、たかがタイトルひとつとっても、決してバカにはできない、ということがわかるわけです。
実際、「圭子の夢は夜ひらく」以後、それぞれ新しい歌詞で、歌手名を頭につけた

「◯◯の夢は夜ひらく」

という、無数のカバー・バージョンが発表されております。
個人的になじみがあるのは、八代亜紀さんによる

亜紀の夢は夜ひらく」、

そして、ちあきなおみさんによる

ちあきの夢は夜ひらく」。

こんなあたりでしょうか。

それでもやはり、唯一無二の鈍い光を、今でも放っている

「圭子の夢は夜ひらく」。

特に、おしまいの方の

「一から十まで 馬鹿でした……」

あたりからの盛り上がる感じは、藤圭子さん(永遠に、安らかに……)にしか出せないものだと思いますね……。


nice!(5) 
共通テーマ:音楽

今日からオレは、部分入れ歯ガイ……。 [ラジオ]

以前から、NHKの『ラジオ深夜便』の時間帯にニュースを読む人の多く(たまーに、合原明子アナが読んでたりすることもあるけど)に、どうやら“アナウンサーOB”の方が多いらしく、なんだか原稿が読みづらそうだったり、各項目の合間に「ピチャッ」とか、口内のつばの音をマイクが拾ったりしてるのを、失礼ながら

「嗚呼、おじいちゃんも大変だなぁー……。」

なんて思ったりしてたんですけど………、
サーセンでした!!!(土下座。「焼き」は無しで)

今日からオレも、そんな“おじいちゃん”の仲間入りです(ちなみに1965(昭和40)年生まれ)。
少し前に、自分からみて左下側の奥歯には「ブリッジ」という疑似歯(?)を入れていたのですが、そちらが落ち着いたということで、いよいよ右下側の奥歯に、満を持して

「部分入れ歯」

を入れる、というか装着することになりました。
残っている歯に、金属で引っかけ、はめ込む仕組みになっていて、装着そのものはほぼワンタッチでスムーズイン。
ただし、外すのはひと苦労ですし、つけたまま何かを食べるのもけっこう大変ですし、何より装着していると、自分が石ノ森章太郎作品の主人公にでもなったかのような、人造人間の哀しみとか、まったく架空の感情が自分のものであるかのような、そんな気持ちになったりもするわけです。
なんでか?(ここはあえて、堺すすむさんっぽくお読みください)

でもね、なんかちょっと、楽しいような気分も、ないことはない
本来、遊ぶもんじゃないですけど、気持ちとして「入れ歯で遊ぶ」というか、この状況を心のどっかで楽しんでいる、そんな自分もいたりするんです。
もちろん、例の「きぬた歯科」の、TBSラジオで流れてるCMじゃないですけど、

「入れ歯って、ツラいですよねェェ~~!!」
(今は「入れ歯でお悩みの方、」という、堀井美香アナのソフトなアナウンスに変更)

という、そんな感情も、この前なら「ブリッジ」を入れた直後や、今ならこの「部分入れ歯」を外そうとする時なんかに、まさに痛いほど理解できるんです。

この、「入れ歯」というブツ。
日常と密着し、また、入れる部分が増えれば増えるほどに、なんかもう、あまりといえばあまりで、なんも言えなくて…夏、というかですね、もう笑っちゃう。それしかない。
いや、仕方なく笑うんじゃなくて、自分から積極的に笑ってしまうのがいいかもしんない。
あの、『相席食堂』の後半の街頭ロケなんかで出てきた、自分から総入れ歯を出し入れしてみせて笑かしにかかった(のかどうかはわからないけど)“進撃の巨人”似のおっちゃんじゃないけど、あそこまで行けたら、たいしたもんじゃないのかな、なんてことも思うんです。

うん。
ちょっとだけで構わないから、「おもしろいじじぃ」になりたいなぁ……。
そんで、その頃には仙人の域に達しているであろうマムちゃん=毒蝮三太夫さん

「お前、◯◯(任意の怪獣・宇宙人の名前)みてぇな顔しやがって!」

とか、中継先でいじられるのが、いまの私の夢です。
(なんだ、このシメ方は?!)
nice!(12) 
共通テーマ:日記・雑感

『ミッドサマー』のスゴさと、宅配レンタルの世知辛さについて。 [音楽]

さて皆さん(もちろん、浜村淳さんっぽく)。
『ミッドサマー』っちゅー映画(もちろんタイトルは、独特のイントネーションで)、ご覧になりましたか?
いやぁー、スゴかったですねぇー。
あの作品、わたくしは一種の“青春映画”だと思うんですが、皆さんはいかがだったでしょうか(って、水野晴郎センセはよく言ってました。どんな映画の時でも)。
コワいコワい、まぁ、まぁまぁ、よくあそこまでえげつないことを考えつくもんですねぇー。
私、観ている最中、座席の前の方にゲロ袋が備え付けられてないか、探しましたもん(んなわきゃぁない)。
とかなんとか、いろんなセンセを憑依させながら、冗談っぽく書いてきましたが、もう限界です。


私はもう、ボロボロです。(じゃなくて)

『ミッドサマー』は二度と観ません。
もちろん、ディレクターズカットも、観に行きません。
当然、『ミッドサマー』の話も、もうしません。たぶん。


この件につきましては、以上(異常)でございます。



さて皆さん(浜村淳さんふたたび)。
つい先日わたくし、生まれて初めて“宅配レンタル”、というやつを、お試しではなく実際に支払いをする形で、使ってみたんです。
関係ないですけど、最近わたくし「生まれて初めて」、ってやつが多いですねぇー。
別に『アナ雪』が好きとかそういうわけでもないんですけど(オラフは好き。声は戻してほしいと思う……。)、食あたりになって点滴打ってもらったのも「生まれて初めて」でしたし。
そうそう。
ある大手レンタルチェーン系列の宅配レンタルなんですが、以前に会員登録だけして、そのままにしておいたんですね。
それで時々メルマガが届いてたんですが、いわゆる定額制ではない、ワンスポットでの1枚あたりの料金が期間限定で安くなってるので、借りてみて下さい、みたいなのが来たわけです。
それで、ご存知の通り(かどうかは知らないけど、このまま書きます)、いま八代亜紀さんがマイブームになっているわたくしとしては、オクでもAmazonでも買えないようなCDを、そこのサイトで探してみたわけですけど、そしたらあるのなんの。
特に、アナログはオクで500円とかでなんとかなるけど、CDの方はどうにもならないという、当時2枚組のアナログで出て、CDも2枚組で出た、ライブ盤の数々が、あるじゃないですか!
というわけで、そういったライブ盤の数々をガシガシとカートに入れて、ついでに5曲ぐらい(亜紀さんの歌では)聴いたことのない昭和歌謡のカバーが入っていて、いまAmazonで8000円ぐらいになってる2枚組のコンピレーションも入れて、発送を待ったわけです。
思えばその間、「ご利用ガイド」とか「初めての方へ」とか、そういうとこを見ておいたらよかったんですけど……ね。
中1日ほどで届いた、その封筒を見て、思わず『新婚さんいらっしゃい!』の桂文枝(三枝)師匠じゃないですけど、ひっくり返りそうになりましたよ。
あの、通販のダイレクトメールが入ってくるみたいな、ちょっと油断したら捨ててしまいそうな、ビニールの封筒。
それを往復で使う、っていうんですね。
で、中には入ってました、CDが。確かに。
極薄の(うすうす、ともいう?)ペラペラしたケースに、ディスクが2枚ずつ。
あれ、ブックレットは……?!

そうなんです。
ブックレット(歌詞カード)、なし。
とりわけ、ライブ盤のCDということで、ビジュアル的な要素も楽しみにしてたんですけど、ディスクしかないとは。
あと、通常のレンタル屋さんや図書館とは違って、2枚組だったら「2枚」として計算されてしまうという……。
加えて、それぞれのコンサートの基本的なデータも知りたかったのに、それも自分で調べるしかない。
(調べましたよ。目の前にある、このブツ(PC)で!)
ケロヨンじゃないけど、すっかりショボーンとなりながら、粛々とCDの取り込み作業に精を出しましたとさ。
でもまぁ、ディスクそのものは無事に届いているわけですから、この場合それでよし、とすべきなんでしょうね。
それぞれ、少しずつ聴いてみると、大がかりな歌謡ショー、といった趣きで、玉置宏さんとか、八木治郎さんとか、往年の名司会者の方が(いない場合もあり)案内役を務め、あとは亜紀さんの、キュートなおしゃべりと、そしてスタジオ録音より良かったりもする、その歌と。
バックの演奏も、宮間利之&ニューハードとか、ダン池田&ニューブリード(!)とか、迫力ありますし、アレンジがいちいち大げさなのも「味」になってて、この場合「アリ」ですね。
まぁ、もし今買ったら5万はするCDをガッツリ借りたんですから、ガッツリ聴いた上で、さっさとポストに返すことにしましょうか。

ちなみに、本日のBGMは、コロムビア時代の亜紀さんのベスト盤でした。
ライトな感じが、なかなかよいのです。
どうもテイチク時代の音だと聴き入ってしまって、作業が進まないんですよね。

それではまた、この場所で、
あなたと!
お会いしましょう。


2020年3月11日、ユニバーサルから発売された、亜紀さんのニューシングル。
 武部聡志さんのピアノと組んだ、新録の「舟唄」が素晴らしいのです。


☆今回の記事で取り上げた亜紀さんのライブ盤のうち、唯一まともな価格で購入できる、1977年の『燃えて翔べ』。亜紀さんのMCが、とにかくカワイイ。

nice!(7) 
共通テーマ:音楽

まったく個人的な、2011年3月11日のこと。その2 [3.11]

部屋に帰り着き、玄関のドアを開けた時、言葉にできない感情が、頭の中で渦を巻いていた。
そう。それはまるで、柳生博さんの、アンドロメダ星雲のような、こう、なんというか……ハンターチャンス!(失礼しました)
水道があふれ、冷蔵庫も激しく動いたらしく、とにかくうちの中はメタメタになっていた。
そして何より、お留守番を頼んだはずの愛猫・はなさんの姿も、気配もない。
さまざまなモノが横倒しになっている狭い部屋の中で「もう、はなさんには会えないかもしれない」という思いを払拭するように、オレは家人とふたり、はなさんの名前を呼び続けた。
けれど、一向に出てくる気配も、何もない。
あきらめたくはなかった。
けれどここは、つらいけれどあきらめて、ふだん選挙の投票所で、いまは避難所になっていると目される、近くの小学校の体育館に向かった。

避難所は、どちらかというと整然としていた。
主にライフラインをやられてしまい、家では休めないのでここに来ている、という感じの人々が多く、それぞれ自分たちの場所をみつけて、おとなしくしていたように思う。
覚えているのは、「それでも(避難所から)仕事に出る」という人が結構いたこと、食事時にふるまわれた、非常用の「アルファ米」というごはんの、ちょっと特殊な感じの味。
それからなんといっても、夜通し低いボリュームでつきっぱなしになっていたNHKのラジオが伝える、まるで現実味のない情報(「ウソくさい」とかではなく、あまりにも現実ばなれしていたせいだろう)。
中でも耳を疑ったのは、「仙台市の沿岸部、荒浜地区の海岸に、およそ200体近くの遺体が打ち上げられており、」という情報だった。
え?
だって、荒浜だぜ。
毎年、夏になると、ふたりでバスに乗って海水浴に出かけていた、あの荒浜。
荒浜地区には、仙台市内の数少ない海水浴場として「深沼海水浴場」があり、夏には人でにぎわっていた。
TBCテレビの『サンドのぼんやり~ぬTV』も、毎年夏になるとここでロケを行ない、一般人の水着のおねいさん達とツイスターゲームで遊ぶなどしていたものだった。
バスの車窓からは、基本的にのんびりとした、住みやすそうな住宅地などが見えたし、就労支援施設と思われる工房の前では、ひとりの青年がバスに向かって手を振ってくれていた(彼はいま、元気だろうか?)。
その青年に向かって、こっちも手を振り返したりして、のんびりとした“小さな旅”を堪能したものだった。
あの、海水浴場の近くの、静かなたたずまいの家々は、今も記憶の中にあざやかだ。
そういった記憶の中の情景と、避難所のラジオが伝える情報とが、頭の中で、どうしても結びつかなかった。
しかしそれは誤報でもなんでもなく、悲しい事実だった(打ち上げられたご遺体の数も、200体にすこし少ない程度で、ほぼ一致していた)。
あのすべてが、ほんの短い時間で失われてしまうなんて。
いま、「深沼海水浴場」の入口のあたりには、慰霊碑が建立されている。
仙台にお越しの際は、数ある観光名所もよいのですが、ぜひそういった場所へも、足を運んでみてください。

やがてライフラインは、すぐに電気が、そして水道が復旧し、かなり時間はかかったが都市ガスも、日本各地のガス会社の方々のご尽力もあって、4週間ほどで復旧した(うちにいらしたのは、大阪のガス会社の方だったと思う。本当にありがとうございました)。
もっともうちの場合、ガスの復旧を待てずに、ヨドバシでIHコンロ(って呼ぶんだろうか?)を買ってきて、近所のスーパーでおとなしく行列を作り(主に家人が)、きわめてシンプルな食事で、しばらくの間をしのいでいた。

張りつめた毎日の中、音楽に救われた瞬間もあった。
今では居ながらにして日本中のラジオほとんど全局を聴くことができる(有料)ラジコが、震災発生後まもなく、その時点ではまだあったエリアごとの壁をとっぱらい、一定期間、いわば「無料でラジコプレミアム」のサービスを提供した時期があった。
うちでも何気なく、大阪のFM802をつけていると、どうしようもなく泣けてしょうがない曲が、流れてきた。
「愛は勝つ」で知られるKANの名バラード、

「すべての悲しみにさよならするために」

だった。



そうそう、愛猫・はなさんのことだが、「あの日」から3日目か4日目ぐらいに、当時住んでいた集合住宅の管理人さんが、
「この子、おたくのドアの前のとこにずっといたから、管理人室で預かってたんだよ」
と言い、そこでガチガチに身を固くしていたはなさんと再会することができた。
どうやら出かける際、玄関のドアを施錠した時、はなさんがチョロっと外に出てしまっていたことに気づかず、そのまま出てしまっていたようだ(今でもちょっと謎は残っているけど)。
しばらくの間、ご機嫌ななめのままだったけれど、とにかくはなさんは「あの日」を乗り越え、2019年のイヴの朝まで、オレたちと共に暮らしていてくれたのだった。


最後に。
国や県や市の偉い人が、どう言ってるか、オレにはよくわからないけれど。

復興は、まだまだこれからです。
nice!(8) 
共通テーマ:日記・雑感

まったく個人的な、2011年3月11日のこと。その1 [3.11]

その日は金曜日で、テレビの芸能ニュースのトップは、坂上二郎さんの訃報だった。
前日である3月10日に亡くなられた、ということだったので、二郎さん元キャンディーズのスーちゃん(田中好子さん)とは違って、「あの出来事」を知らずに旅立ったことになる。
その日はお休みで、家人とふたりで映画を観に出かけることにしていた。
その後、飼い主のお母さんや“奥さん”を亡くしながらも、ご本犬(?)はいま現在も元気だという青森の名物犬・わさおを“主人公”に据え、飼い主のお母さん役に薬師丸ひろ子さんをキャスティングという、いま思うとかなりチャレンジングな企画である実写映画

『わさお』

である。
観る予定だったのは、午後3時過ぎの回だったので、お昼を過ぎても家でゆっくりしていた。
『徹子の部屋』のゲストは、確かオレがある意味尊敬している高田純次さんだったような気がする。
思えばその頃は、家で「つけてる」といえばテレビだったのだなぁー……。
今はすっかりラジオか、そうでなければ配信動画とかブルーレイとか観てるんですけど。
で、つい先日亡くなって、この頃はまだまだ元気だった愛猫・はなさんに、家の中でのお留守番を頼んで、玄関のカギをかけ、出かけることにした。
『わさお』を観ることになっていたシネコンは、当時の住まいからそこそこの距離、仙台市の長町にある複合商業施設の中にあって、始まるまでちょっと時間があったので、シネコンの下の階の、大きな本屋さんを、家人とふたりでウロウロしていた。
ふと、美空ひばりさんの、若い頃の『平凡』とか『明星』だとかのために撮られたと思われる写真を集めたらしい本が目について、それがなかなかのお値段で、こういうのをなんの躊躇もなく買えるお人は、かなりのお大尽なんだろうなぁ……なんてことを思っていたら、
突然、大きな揺れが来た。
ダジャレではないが、そこら中の棚という棚から、本がわさわさと、いや、ドサドサと落ち、通路をふさいだ。
揺れはどんどん、激しくなってゆく。
こういう時、人ができることといっても限られているし、実際、家人と手をつないで「愛してる」とかお互い言いながら、耐えた。
まるで富島健夫先生の、ジュニア小説(“ジュブナイル”と呼ぶには、ちょっとエッチなやつ)に出てくるカップルのようである。
というか、死ぬかもしれない、いや、死ぬ、と思うような揺れだったので、その心の準備も、していたと思う。

1分か2分が経ち、揺れが収まってきたところで、商業施設の店員の方の指示で、階段から地上へ出ることになった。
もはや、とりあえずその日は『わさお』どころではない。
確か、自転車と地下鉄を使って来ていたので、とりあえず地下鉄の駅まで、ふたりで歩いた。
ところどころでケータイのワンセグでテレビをつけている人がいて、明らかにただ事ではない、ということがわかった。
駅までの道をたどる途中も、被害が大きいようだった。
駅のそば、いまはローソンになっているローソンストア100が、入り口だけ開けて、とりあえずあるモノだけ、という感じで、電卓片手に食料品などを販売していて、うちも少し、買わせてもらった。
駅の駐輪場からうちまで、自転車を押して帰ったのか、乗って帰ったのか、よく覚えていない。
うちに着き、玄関のドアを開けると、まずは“はなさん”を呼んだが、出てこないし、気配もしない。
それ以前に、もともと限りなくゴミ屋敷に近い状態ではあったうちが、寝起きすらできない状態になっていた。
もちろん、ライフラインも、すべて止まっていた。
この、自分たちの身のまわりのこと、そして“はなさん”のことでいっぱいいっぱいで、沿岸部で何が起きていたのか、その時のオレたちには知る由もなかった。(つづく)
nice!(8) 
共通テーマ:日記・雑感

マイトガイ・小林旭とアニソンの、意外な関係とは?(ちょっと強引) [音楽]

観ましたよ、Amazonプライムビデオで、小林旭(以下、アキラと記す)主演の

『多羅尾伴内』

(無料ではないんですけど)。
いやもう、最盛期の八代亜紀さん(美しい……)が出てきて「愛の條件」を歌ったり、アン・ルイスさんが出てきて、友人であるユーミン書きおろしの(セルフカバーもあります)「甘い予感」を披露したり、かと思うとピンク・レディー……の類似品グループのひとつで、まぁ「がんばったがダメ」((c)大槻ケンヂさん)だったキャッツ・アイという2人組が出てきて「導火線」という歌を激しい振り付きで歌ってみたり。
あ、もちろんアキラもいくつかの変装のひとつ=流しの歌手として大ヒット曲「昔の名前で出ています」を披露するなど、にぎやかなことこの上ないんですが、そんなこんなも、劇中巻き起こる猟奇的な殺人事件の前では、影が薄くなってしまうのです。
実際オレは、公開当時この『多羅尾伴内』を映画館で観ているのですが、そのシーンがトラウマになってしまって、他の部分がどうだったかとか、今回ようやく思い出したほどですから。
その事件、戦後まもなく実際に宝塚歌劇の公演中に起こったある惨劇を下敷きにしていることはほぼ間違いないのですが(興味のある方は「宝塚歌劇 胴体」でぐぐってみて下さい。亡くなられた方のご冥福を、心からお祈り申し上げます……。)、いや、もう、あんなことが実際に目の前で起こったら、どうにかなっちゃうでしょうね。
それにしても、日活時代からするといくらか贅肉もつきつつあったとはいえ、
アキラはカッコよかった。
前後して、同じ東映(と12チャンネル)が子供向けテレビ番組として制作・放映していた、

『快傑ズバット』

が、まさにアキラの代表作であるところの

《渡り鳥シリーズ》

をモチーフとしていたこともあってか(いや、偶然でしょうけど。ただし『ズバット』の原作と、『多羅尾伴内』のコミカライズ小池一夫先生と共作)は、どちらも石ノ森章太郎先生、という共通性は、一応あります)、短いアクションシーンであっても、アキラの

「『ズバット』とかいうのをやってる、宮内(洋さん)には負けないぜ!」

という心の声が聞こえてきそうなハッスルぶり。
いや、敬服いたしました。
当時の東映にあって、本当に数少なかった清純派女優だった竹井みどりさん(可憐だ……)のお姿も拝見できましたし、充実したひとときを過ごすことができました。


そんなある日、ふと気付いたんです。
あれは、そう、大瀧詠一さん監修・選曲による『アキラ 4』という、「自動車ショー歌」とか「宇宙旅行の渡り鳥」(!!!)とか、ちょっとアレな感じの曲ばっかし集めてあるCDを聴いていた時のことでした。
その中に

「ショーがないね節」
というですね、もー本当にショーがないほどの名曲が入っておりまして(そうそう。あの「赤いトラクター」も入ってますよ!)、なんといっても歌の中で

「夜がまた来る ショーがないね ショーがないね~~~♪」

と、ご自分のセルフパロディーもやってのけていらっしゃる(「夜がまた来る」とは、アキラのこれまた名曲「さすらい」の歌い出しの一節でありまして、そこに「ショーがないね~~~♪」と来られてしまうと、間寛平ちゃんではないですけど、アヘアヘウヒハ、みたいな感じに思わず腰が砕けてしまいそうになるわけで)、そんなところも含め、実にカッコいいんですよね、トータルでいくと。
そんな「ショーがないね節」、バックのサウンドが、これまたカッコいいのなんの。
いわゆる“和モノ・レアグルーヴ”というか、もう異常なまでにカッコいい。
イントロなんか聴いてると、まるで秘密基地から何かのマシーンが発進しちゃいそうな雰囲気すらあります。
そう。
なんだかこの「ショーがないね節」のバックのサウンド、どうも『ゲッターロボ』だとか、あの辺のアニメの主題歌と共通のグルーヴを持っているようなのです。
これには、どうやら

「演奏している人が、だいたい同じ」

という事情も、大きく作用しているみたいです。
かつてのスタジオ・ミュージシャンという仕事は、基本的にノンジャンルで、なんとその日演奏する曲が、演歌なのかポップスなのか、童謡なのかあるいはちょっとエッチなムードのBGMなのか(中古レコード屋さんに行くとわかりますけど、かつてはそういった類のレコードの需要も、一定数あったんですよ……)、スタジオに出向いてみないとわからない、ということがほとんどだったそうなんですね。
で、ミュージシャンの皆さんはプロですから、それぞれ曲調に合わせたプレイをこなして行くわけですけど、時にはこの、アキラの「ショーがないね節」のように、歌謡曲でありながら、まるでアニソンのようにアップテンポでノリのいい楽曲に当たることも、あるわけです。
ここでのミュージシャンの皆さん、まさにノリノリで、120%以上の実力を発揮しておられます。
決して真面目な歌とは呼べないかもしれません(というか、むしろふざけてる)。
しかし、真面目に、楽しんでプレイすることによって、アキラのすっとぼけた歌いっぷりが、より活きることになるわけですね。
「ショーがないね節」。
決してショーがなくない、アキラのコミカル路線における傑作のひとつと言えるでしょう。
(文中一部敬称略)


☆レンタルは300円から。監督は『トラック野郎』シリーズの鈴木則文さんです。


☆世間が騒がしいこういう時こそ、こういうバカバカしい名曲の数々が必要なのです。ぜひ!


☆こちらはコンパクトなアキラ名曲撰。「落日」「夢ん中」と選曲もナイス。「オロロン慕情」が入ってたら完璧だったかも。

nice!(5) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。