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昭和の闇を感じさせる「吉展ちゃん事件」、ふたつの映像化作品。 [映像作品]

うひゃ~、ものすごく、ご無沙汰しておりました。
「どうしてこうなった」のか、その理由の一部は、のちほど。

それにしても、ほぼ平常運転に戻りつつある、近所(仙台市)の図書館をはじめとして、少しは安心できる雰囲気が漂いつつありますけど、まだまだ、油断はできません。
もちろん、発展途上国などでの新型コロナの状況も鑑みると、果たして2021年、東京オリンピック/パラリンピックが普通に開催できるのか、という問題もございます。
そして、なんといっても、近づきづつある平穏な日々の中で、少なからずダメージを受けた、それぞれのこころの問題。
うちも、ちょっと、危なかったです。
何気なくオレが、政治的な話題を持ち出すと、家人がネットで仕入れた知識で、絶対的な感じで反論して来るのでした。
時に、嘲笑や、憐れみを含んだ笑いをみせながら。
なんとなく見ていたテレビの報道番組にもいちいちケチをつけ、特に気に入っていた、土曜の夜の安住アナ&ビートたけしさんのコンビによる『ニュースキャスター』のことを「偏向しているから、二度と見たくない」などと言い放ったり。
一時は、ホントに、耐えられなかった。
世間で言われていた「コロナ離婚」だとか、そういうファクトが、自分の前にもリアルなものとしてチラついたりして。
でも
「そこそこのところで、受け流す」
「そもそもヤバそうな話題は、自分からは持ち出さない」
といった、知恵のようなものもついてきて、それからは、なんとかかんとか、ほぼ元通り、といった感じです。
大体、こんなことで(こんな状況下で)別れてしまうなんて、何だかくやしいじゃないですか。
まぁ、そんなこともあって、心に余裕もなくなって、しばらく地味にしておりました。
これからも、更新のペースそのものは、かなりスローになるかもしれませんが、思うところがあれば、なんだかんだと綴ってゆくと思います。
どうぞ、ごひいきに。


さて皆さん(もちろん、浜村淳さんっぽく)。
「吉展ちゃん事件」、って、ご存知でしょうか。
そもそも、「吉展」を「よしのぶ」と、脳内で一発で読めた方は、それなりのナイス・エイジであろうとご推察致します。
この、1963(昭和38)年3月に発生し、小さな子供さんを育てている、あるいは育てることになるであろう、日本中の女性の皆さんを恐怖のどん底に突き落し(オレが母のお腹の中にいたのも、この事件が「解決」される少し前でした…)、脅迫電話の「声」がテレビ・ラジオを通して繰り返しオンエアされ、またザ・ピーナッツら5組のアーティストの競作による「かえしておくれ今すぐに」という歌まで発売されるなど、国民的な関心事となり、「戦後最大の誘拐」とまで称された事件は、1965(昭和40)年、その悲劇的な「解決」後、少なくとも2回、映像作品化されています。
ひとつは、その「解決」から1年後、東映が劇場用長編としてモノクロ・スコープサイズで制作した

『一万三千人の容疑者』。

一時は警視庁の法医学室に籍を置きながら脚本を執筆し、『警視庁物語』シリーズなどにその手腕を発揮した(それはすなわち、今日まで続いている、いわゆる刑事ドラマの雛形を創り上げた、ということでもあります…)長谷川公之さんが脚本を、職人肌で知られた関川英雄さんが監督を、それぞれ担当。
いわゆる「東映系」の役者さんはほとんど出演せず、東映への出演が多い新劇系の役者さんなど、硬派のキャスティングで勝負しているところは、後年の『新幹線大爆破』の助演陣のキャスティングを連想させるものがあります。
いわゆる「原作」となったものは、捜査主任を務めた堀隆次さんが著した同題の捜査記録で、堀さんの名前は劇中では「堀塚」となり、実際に容疑者を自白に追い込んだ平塚八兵衛刑事の要素も、主人公の刑事に加えています。
主なキャスティングは、その堀塚刑事に「刑事といえばこの人」芦田伸介さん。
容疑者(やはり名前は変えてあります)は、まだメジャーな存在になる前の、井川比佐志さん。
その愛人(長谷川さんによる脚本には「情婦」とあります)には、市原悦子さん。
そして本編唯一といってもいい「スターらしいスター」として、「吉展ちゃん」(やはり名前は以下略)の母親に、小山明子さん。
特撮ファンの方には、母親の弟役で、『キカイダー01』などの池田駿介さんも出演されていることを、お伝えしておきましょう。
今のところソフト化、配信などはされておらず、CSでオンエアされたことはあります。
オレは長谷川さんによる脚本(もちろん警察サイド中心ではありますが、やはり、読ませるものでした…)を読んだだけですので、この作品の紹介は、ここまでにしておきます。


そしてもうひとつは、近年再評価著しい、そもそもは『土曜ワイド劇場』枠の2時間ドラマであった

『戦後最大の誘拐 吉展ちゃん事件』。

こちらは「発生」から16年後、1979(昭和54)年にオンエアされ、芸術祭賞、ギャラクシー賞などを受賞し、(その時点での)番組最高視聴率を記録しています。
本田靖春さんによるノンフィクション『誘拐』を原作として、なんと半年間もの間、粘って撮り続けた監督は、『あこがれ』『めぐりあい』『生きてみたいもう一度 ー 新宿バス放火事件』など名匠・恩地日出夫さん、脚本は柴英三郎さん。


☆こちらはKindle版。


こちらは完全に、容疑者サイドから事件を追う、というか、攻めて行きます。
その容疑者(今回は、すべて実名です)を演じたのは、これが初めての本格的な芝居であったという、泉谷しげるさん。
本作をきっかけに、泉谷さんには役者としてのオファーが殺到しました。
容疑者を自白に追い込む、平塚八兵衛刑事は、ふたたびの芦田伸介さん。
そして、容疑者の愛人は、これまたふたたびの、市原悦子さん(ですが、チョイ役だった『一万三千人の容疑者』の時と違い、本作では物語の上での重要度が増しております)。
吉展ちゃんの母親には、音無美紀子さん。
同じく父親には、とっても若い北村総一朗さん。
その他、風間杜夫さん、阿藤快(海)さん、殿山泰司さん、山谷初男さん、伊豆肇さん、松山英太郎さん、加地健太郎さん、左時枝さん……といった方々が、出ておられます。
本作に関しては、ひとことだけ言っておきましょう。

大傑作です。

なお、この『戦後最大の誘拐 吉展ちゃん事件』CSスカパー!J:COMなどで見られる「映画 チャンネルNECO」で、
6月22日(月)夜9時(21:00)から、オンエアされることになっております。
https://www.necoweb.com/neco/program/detail.php?id=4499

また本作は、『実録・昭和の事件シリーズ コレクターズDVD』として、少々値は張りますがソフト化されており、Amazon以外でもあちらこちら探してみることで、ちょっといいことがあるかもしれません(が、ここには一応、比較的安定して入手できるAmazonへのリンクを張っておきます)。



最後に、村越吉展ちゃんのご冥福を、
心からお祈り申し上げます。
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