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八代亜紀入門・その2。 [音楽]

八代亜紀さんというアーティストの歌が、いかに大衆に浸透していたかを物語る、ひとつのエピソードがあります。
というか、これはまったくの個人的な記憶なのですが、中学の修学旅行で東京方面へ行ったとき、すっかり暗くなった都内をバスで移動中、窓の外に

《キャバレー・愛の終着駅

という、さまざまな妄想をかき立てるネオンサインが見え、車中の中3男子ども(含むオレ)がこぞってコーフンしていたものでした。
もちろん「愛の終着駅」といえば、亜紀さんの代表的なヒット曲のひとつで、なんというか、真摯な女心を歌った、まじめな楽曲なのですが、この「愛の終着駅」という字面だけを抽出すると、店内でどんなサービスが展開されているのか、それは一体どの程度気持ち良いのか、とめどなく妄想が拡がり、バカな思春期男子どもにはまぁ、ハナヂもんだったわけです、はい。
他にもかつて電話ボックスで、

貴方につくします。90分15000円》

などという、いわゆるピンクチラシを発見したこともありますし(「貴方につくします」も、亜紀さんのヒット曲。チラシのモデルは、もちろん亜紀さんではありませんでした)、いずれにしてもゲスいお話で、亜紀さんご本人のお耳にはちょっと入れたくないような気がするエピソードではありますが、ここだけの話として、ご披露させていただきました。


さて、今日は『テイチク時代の八代亜紀・まずコレだけは聴いてみよう!』というテーマで、行ってみたいと思います。
まずは、コレから。

1:「おんな港町」(1977年発売・オリコン最高13位)

バックの演奏にも、亜紀さんの歌いっぷりにも、いわゆるグルーヴ的なものが感じられます。
特にベースギターと、シャープなドラムス、そして地味に鳴っている電子鍵盤楽器(たぶんクラビネット)が、キイています。
よく“和モノ・レアグルーヴ”という呼び方をするのですが、この呼び方は「埋もれていたけど、なかなかイケる逸品」みたいな意味合いだと思うので、れっきとしたヒット曲である「おんな港町」は“和モノ・レアグルーヴ”というわけではないのでしょうが、実にグルーヴィーな仕上がりです。

2:「もう一度逢いたい」(1976年・オリコン9位)

「おんな港町」と同じく「軽くて、ノリがよくて、演奏時間が短い」ヒット曲です。
サビの部分のたたみかけるような展開には、思わずこちらも口ずさんだり鼻ずさんだり(?)しそうになってしまいます。
先述の「おんな港町」と、この「もう一度逢いたい」は、《踊れる演歌》、それも社交ダンスというのではなくゴーゴー系のそういったナンバーとして、おすすめできると思います。

3:「しのび恋」(1974年・オリコン13位)

亜紀さん初期のヒットのひとつで、やや地味なのでどうしても埋もれがちですが、イントロなどで活躍するツイン・リード・ギターと申しますか、おそらくダブル・トラックでギターの音を重ねたのだと思いますが、このギターの響きが美しい!
亜紀さんの歌声もそれに呼応するかのように、なんともいえない哀愁を感じさせてくれております。

4:「雨の慕情」(1980年・オリコン9位)

ご存知、レコード大賞受賞作です。
「サビの部分を、その場にいるみんなで合唱できる演歌」としては、島津ゆたかさん(今、いずこへ?)の「ホテル」と双璧と言えるかもしれません(まぁ、「ホテル」の歌詞をみんなで歌ってるのって、いま考えるとちょっと異様な光景かもしれませんが……)。

5:「舟唄」(1979年・オリコン15位)

「八代亜紀の代表作を、ひとつだけ挙げよ」と問われたら、やはりこの「舟唄」、ということになるでしょう。あの阿久悠先生が、何十曲と書いた詞をテイチクの当時の社長さんにすべてボツにされたあげく(※ここで記した数字は、「その1」でご紹介した亜紀さんへのインタビューの中で出てきたもの。他には「6編の歌詞をボツにされ、阿久先生とテイチクとの間は一時険悪に」と記された資料もあります…)、開き直って書きあげたのがこの歌詞だそうです(※「舟唄」誕生のいきさつについては、まったく異なることが記されている場合もあります。本稿ではあくまで、亜紀さんへのインタビューでの発言をもとに記しました)。
映画『駅 STATION』でも主題歌扱いで、巧みな使われ方がされていましたっけ。
聴き終わったあと、頭の中に“残像”のようなものが、ぼわーっと浮かぶのが、これまたたまりません。


+1:「愛ひとすじ」(1974年・オリコン10位)

さて、ここまでは現在販売されているお手頃2枚組『ゴールデン☆ベスト』や、レンタル屋さんに置いてある『定番ベスト』『テイチクミリオンシリーズ』(この2つ、実は『ゴールデン☆ベスト』のディスク1と内容がまったく同じ!)などで、すんなり聴くことができる楽曲の中から5曲、選ばせていただきましたが、この、川内康範先生作詞「愛ひとすじ」は、ちょっと事情が違いまして、これまでほぼ、どのベスト盤を探しても聴くことができなかった、しかし亜紀さんにとって重要な楽曲であることは間違いない1曲ということで、ここでは「+1」としてご紹介させていただきました。
その辺のくわしい事情などは、その他のレアな楽曲のご紹介と共に、また次回のお楽しみにさせていただきたいと存じます……。


☆上記の「愛ひとすじ」以外のベーシックな楽曲は、コレでバッチリ。ディスク2のカバー集でも亜紀さんは実力を発揮しております。


☆「愛ひとすじ」を含む、テイチク時代の売り上げ上位28曲にコロムビア音源の「花(ブーケ)束」などを追加。CDサイズ復刻のシングル・ジャケット28面14枚つき、限定1000セット。

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